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検索結果 1339 件

著者 新 良治|
発行日 2007-09-30
出版物タイトル
資料タイプ 学位論文
著者 橋本 和久|
発行日 2008-03-25
出版物タイトル
資料タイプ 学位論文
著者 山田 和代|
発行日 2008-03-25
出版物タイトル
資料タイプ 学位論文
著者 安藤 涼子|
発行日 2008-03-25
出版物タイトル
資料タイプ 学位論文
著者 新村 容子|
発行日 2007-03-31
出版物タイトル 文化共生学研究
6巻
1号
資料タイプ 紀要論文
JaLCDOI 10.18926/12843
JaLCDOI 10.18926/bgeou/12817
タイトル(別表記) Japanese Teacher's Similar Type of Job Stressors
フルテキストURL 137_133_141.pdf
著者 田中 宏二| 高木 亮|
抄録 本研究の目的は教師のメンタルヘルス促進の実践のために、高い「バーンアウト」を生じることが予測できる教師の職業ストレッサーの類型化をこころみることである。岡山県の小・中学校教師710名を対象に調査を行った。まず、「職業環境の要因」(28項目)と「職務事態の要因」(16項目)、「個人的要因」(5項目)からなる3種類の教師の職業ストレッサーの3要因の平均得点を代表値とし、それをもとに小学校・中学校教師それぞれにおいてクラスター分析を実施した。その結果、小学校は3つ、中学校は4つのクラスターが示された。次いで、各クラスターごとに「バーンアウト」の3要因の平均得点の比較を一元配置の分散分析で検討した。その結果、小学校のクラスターは「バーンアウト」の高さの一貫した差が確認できない一方で、中学校は特定のクラスターの順番にあわせてほぼ「バーンアウト」が悪化していく傾向が確認された。以上の結果を基に「個人的要因」のストレッサーとしての「バーンアウト」への影響過程の複雑さと今後の実践上の課題を議論した。
キーワード 教師のメンタルヘルス 小学校・中学校教師の職業ストレッサーの類型化 バーンアウト
出版物タイトル 岡山大学教育学部研究集録
発行日 2008-02-25
137巻
開始ページ 133
終了ページ 141
ISSN 0471-4008
言語 日本語
論文のバージョン publisher
NAID 120002304780
JaLCDOI 10.18926/bgeou/12808
タイトル(別表記) Development of Early Childhood Education and Care Class That Enables Self-understanding from Relations between Child and I(7) : Examination of Four Baby Project Practice in High School Home Economics General Subject "Katei So-go(Integrated Home Economics)"
フルテキストURL 137_065_077.pdf
著者 佐藤 園| 河原 浩子| 平田 美智子|
抄録 本研究の目的は,全ての生徒が乳幼児との関わりを通して,親になるということを考え,自己理解を図る保育授業の開発にある。本報は,この目的を達成するための第四段階として,高等学校家庭科普通科目「家庭総合」を履修している生徒 198名 (第3学年男子 57名,女子 141名)に実施されたFlour Baby Prqject(以下, FBPと称す)を検討した。その結果,学校全教員の FBPに対する理解と協力が前提とはなるが,①一人の家庭科教員で 40名の生徒を対象に, 2時間の「家庭総合」の授業時間と 1日間の校内活動で FB Pを実践できること,② 7日間の実践と比較すると,獲得認識の質・量の差はみられるが,壁徒は,③愛情を持ってFBを抱き,④世話に伴う大変さから,⑤子育てに対する責任と現在の自分は精神的・経済的に自立していないため親になることはできないという(む「現在の自分に関する認識」を形成していた。それに対して,⑦「家族の協力の必要性」や「自分の親に対する思い」を獲得していた生徒は少なかったが,授業で行ったディスカッションにより,子育てには「家族や周りの人の協力が必要である」と認識した生徒もある程度みられた。
キーワード 高等学校家庭科 普通科目 授業開発 保育学習 フラワーベイビープロジェクト
出版物タイトル 岡山大学教育学部研究集録
発行日 2008-02-25
137巻
開始ページ 65
終了ページ 77
ISSN 0471-4008
言語 日本語
論文のバージョン publisher
NAID 120002304867
JaLCDOI 10.18926/bgeou/12807
タイトル(別表記) Gender and Japan-Korea Differences in Psychological Characteristics through DIPCA and POMS for All Japan Wheelchair Basketball Atheletes
フルテキストURL 137_059_063.pdf
著者 三浦 孝仁| 松井 久美子| 片山 敬子| 石川 和裕| 佐藤 文彦| 越智 英輔|
抄録 Although previous studies investigating physical performance and biomechanics in wheelchair-bound athletes were reported, few studies have characterized the psychological state of these athletes. This study investigated differences in psychological characteristics among 37 wheelchair-bound athletes (Japanese males, n=11; Japanese females, n=9; Korean males, n=17). All subjects belonged to their own national teams for disabled wheelchair basketball. All subjects completed both the Diagnostic Inventory of Psychological-Competitive Ability for Athletes (DIPCA) and the Profile Of Mood States (POMS). Statictics analysis of DIPCA showed that the psychological competitive abilities in the Japanese males were significantly better than those in the Korean males in this series. However. the scores on POMS did not show significant differences between the Japanese and Korean males, expect for the score for "anger". Neither DIPCA nor POMS showed any significant differences with regard to gender. Above all, we conclude that the psychological differences between Japanese and Koreans reflected the outcomes of international competitions and these there was no gender difference in psychological characteristics.
キーワード Wheelchir Athletes POMS DIPCA
出版物タイトル 岡山大学教育学部研究集録
発行日 2008-02-25
137巻
開始ページ 59
終了ページ 63
ISSN 0471-4008
言語 日本語
論文のバージョン publisher
NAID 120002304842
著者 池口 豪泉|
発行日 2007-06-30
出版物タイトル
資料タイプ 学位論文
JaLCDOI 10.18926/OER/12424
タイトル(別表記) Research on Organizational Change : Comparison between 2006’s survey and 1986’s, 1996’s survey in the Japanese Corporate’s CI activities.
フルテキストURL 39_1_023_046.pdf
著者 松田 陽一|
抄録 今日,バブル経済崩壊後の景気回復の兆しも見受けられ,企業は新しい経営スタイルを模索する必要性にせまられている。さらに,従来にもまして企業をとりまく環境は,急速的に変化し,企業には,それらに対して,従業員の意識や行動の変革を意図したいわゆる組織変革行動が常態的に要請されている。このような状況下,我々の研究関心は,企業の組織変革行動が,今日,どのような様相を呈しているのか,そして,それが今日までにどのように変化してきているのか,ということにある。以上の研究関心に基づき,我々は,2006年8月から8月末日にかけて質問票を使用したアンケート調査(以下,「06年調査」と略称する)を行った。この06年調査における具体的な課題は,日本企業が行ってきた組織変革行動の代表的な施策(体系)のひとつであるCI (Corporate Identity)活動を対象にして,第1に,今日の企業の組織変革行動の様相を明らかにすること,第2に,06年調査の結果と,1986年の調査,あるいは1996年の調査とを比較することにより,その活動がどのように変化してきているのかについて明らかにすることである。よって,本稿の目的は,この課題に基づき行った06年調査の調査結果(内容と比較)を報告することにある。ここで,1986年の調査とは,1986年に財団法人企業活力研究所が行った調査(以下,「86年調査」と略称する)である。また,1996年の調査とは,1996年に松田他が行った調査(以下,「96年調査」と略称する。詳細は,松田陽一『企業の組織変革行動』千倉書房,2000年を参照のこと)である。な お,06年調査の詳細については,松田(2006)を参照いただきたい。 また,上記の86・96・06年調査においては,①導入年次は異なるが,CI 活動を導入した日本国内の企業を調査対象としたこと,②質問票を使用するアンケート調査という調査方法であること,③質問票には共通している質問項目があること(96・06年調査はその一部について,経時変化をみるという観点から,86年調査と同様な質問項目を使用している),について同じである。よって,本稿における以下の調査結果では,上記の第2の課題を明らかにするために,共通している部分については「86年調査(全てではない)」,あるいは「96年調査」の調査結果をも同時に提示している。なお,それぞれの調査の概要は表1のとおりである。
出版物タイトル 岡山大学経済学会雑誌
発行日 2007-06
39巻
1号
開始ページ 23
終了ページ 46
ISSN 03863069
言語 日本語
著作権者 岡山大学経済学会
論文のバージョン publisher
NAID 120002304855
JaLCDOI 10.18926/OER/12409
タイトル(別表記) Quality−Improving R&D and R&D Policy in Differentiated Oligopoly : Bertrand−Price Competition
フルテキストURL 39_2_021_039.pdf
著者 大橋 克成|
抄録 This paper considers whether the results of Steurs (1995) hold under differentiated oligopoly with quality−improving R&D when firms play the role of Bertrand player, focusing on the choice of optimal R&D policy. When making comparisons of market performances among three cases (e.g. R&D competition, intra−industry R&D cooperation and inter−industry R&D cooperation), we show that the optimal R&D policy depends on the relationship between intra− and inter−industry spillovers as well as the level of spillovers and product differentiation. Therefore, the government must coordinate the policy according to the level of spillovers and product differentiation after the government has probed the relationship thoroughly.
出版物タイトル 岡山大学経済学会雑誌
発行日 2007-09
39巻
2号
開始ページ 21
終了ページ 39
ISSN 03863069
言語 日本語
著作権者 岡山大学経済学会
論文のバージョン publisher
NAID 120002304888
JaLCDOI 10.18926/OER/12408
タイトル(別表記) An Essay on Comparative Case Analyses in Management Studies, Part I.
フルテキストURL 38_4_039_050.pdf
著者 藤井 大児|
抄録 本稿は,経営学の分野で,比較事例分析という研究方法が,どのように理論産出に貢献しうるかを考察することを目的とした作業の一部である。 経営学の文脈では,実証的研究方法として事例研究が頻繁に実施されている。しかしながら,成果として提出される理論がどの程度妥当なものと認められ得るのかについて,常に批判に晒されるリスクを負っている。単純ではあるけれども,もっとも強力な批判の矛先は,ごく少数の事例を見ただけ では,仮説の検証という意味では心もとない,というその一点に向けられている。確かに事例研究に対する擁護者は存在するけれども,投稿論文でも「仮説」という用語を論文に用いるや否や,匿名査読者から例外なく容赦ない批判を浴びせられるのが現実である。 そもそも事例研究は,仮説の普遍的妥当性を主張するものではない。登場する行為者の目的や動機,さらに行為者間の相互作用過程にまで踏み込んだ,内部一貫した論理展開を行うことのほうが,経営現象をより深いレベルで理解できるはずだという認識が,その主張の根底に流れている。事例分析を行う研究者は,仮説の検証ではなくて,理論産出を目指すのが良いと言い換えられるかもしれない。この目的に照らせば,既存の研究蓄積との対比で問題が提起され,理論的主張に対して事例記述が例証と位置づけられることによって,事例研究は成り立つことになる。 ただしその主張にたどり着くまでの調査過程で,どのような問題を提起し,どのような主張を展開すべきなのかに迷ってしまうことがある。というのは,しばしば事例記述のためのデータ収集には長い時間と多大な労力がかかるために,どこに向かうべきなのか「腹を括る」よりも前に実質的な試行 錯誤を始めざるを得ないからである。 毎日図書館に通って,高度経済成長の最中に出版された(しかも開けばまだ真新しい)新聞の縮刷版をひっくり返したり,やっとの思いでキー・パーソンへのアクセスがかなったにも拘わらず,気の利いた質問のひとつもぶつけられずに悔しい思いをしたり,調査協力者に内容確認を依頼した結果,公表を辞めるよう求められたり,どこに向かうとも知れない憂鬱な作業は続く。さらにその事例については他の誰よりも詳しく通じてしまった結果,理論的な整理が付かないまま膨大な事実を草稿の中で列挙してしまうというのも,多かれ少なかれ誰にでもあり得る。これらのことが定性的な研究方法は「職人仕事」であると皮肉られる理由にもなっており,とくに仮説検証を重視する人々にとっては,追試可能性の低さと結びつけて,格好の批判材料を提供することになる。本稿の意図が,こうした見解に加担することではないのは言うまでもない。しかしながら,筆者自身が事例研究を行う立場だからこそ,それがあまりに感性とか根性論に訴えねばならないもののように思われて,歯がゆい思いをすることも多いのである。 以上のような試行錯誤のプロセスは,研究者として駆け出しの間は当然避けられないものだけれども,標準的とは言わないまでも「何かしら有意義な理論の産出に辿りつくまでに最低限やっておくと良いこと」という意味での研究作法があればこそ,研究者コミュニティ全体での知識の効率的蓄積が可能というものである。その研究作法が,産出された理論の確からしさを一定程度保証してくれる方法論的配慮がなされたものであれば,より望ましい。 ここで有用なアドバイスが,グレイザー・シュトラウス(1967)に求められる。理論産出に主眼を置き,「理論的サンプリング」による絶えざる比較法を用いることで,研究者の着眼は理論的にも有 意味な構成概念へと昇華させることができると示唆されている。理論的サンプリングとは,まず十分な分散を確保したデータがあることを前提としたランダムサンプリングとは対照的に,理論的に有意義と考えられる比較対象を分析者が意図的に選択し,比較分析を何度も繰り返すことで,新たな構成 概念を発見するというものである。 ただし残念なことに,この文献は一読して理解できるという性質のものではない。読者が自らの経験や知識を当てはめながら少しずつ解釈を加えていかないことには,著者の豊かな含意を捉え損なうものである。そこで筆者は,いくつか参考になりそうな文献を渉猟しながら,比較作業が理論の産出 という研究作業にどのような指針を与え,最終的な理論的主張に対して方法論的な正当性をどのように与えうるのかを議論することにした。 筆者自身は経営学を専攻としており,グレイザーらは医療現場を分析対象としている社会学者であるので,両者の認識ギャップを埋める作業は容易ではない。いくらか遠回りのようではあるけれども,まず本稿では経営学者としてグレイザーらの所論に依拠しつつ,実際に比較事例研究を実践した 研究者の著作に当たることから始めようと考えている。続いて次稿以降では,グレイザーらの研究領域である医療現場の社会学を対象にして,彼らの意図するところをより深く掘り下げていくことを予 定している。最終的には,筆者自身の立場を明らかにする作業が必要になるけれども,それはもう少し先のこととなろう。 本稿は,いわば先人の研究実践を事例研究することを通じて,筆者なりの研究作法を探る試行錯誤プロセスの一環であり,相撲で言えばぶつかり稽古のようなものである。
出版物タイトル 岡山大学経済学会雑誌
発行日 2007-03
38巻
4号
開始ページ 39
終了ページ 50
ISSN 03863069
言語 日本語
著作権者 岡山大学経済学会
論文のバージョン publisher
NAID 120002304919
JaLCDOI 10.18926/OER/12400
タイトル(別表記) Evolving Technical Capabilities in Turmoil : A Field Research on The Value Chain Network of Denim Jeans Industry in The Setouchi District (2)
フルテキストURL 39_3_023_042.pdf
著者 藤井 大児| 戸前 壽夫| 山本 智之| 井上 治郎|
抄録 本稿の目的は,産地型集積の維持・発展メカニズムの分析に先立つ予備的作業として,三備地区が他の繊維・アパレル産地に比較して産地力の持続に成功していることをフィールド調査を通じて考察することである。これに必要な作業としてまず,デニム・ジーンズの歴史や,ジーンズの消費財としての特殊性,三備地区がジーンズに出会ってから今日に到るまでの大きな流れなどを掴む。また倉敷市児島地区を中心とした製販ネットワークの現状を具体的に報告する。前稿で述べたように,産業集積にアプローチするうえで比較優位説を展開した「ヘクシャー=オリン定理」を採用するのと並行して,Porter(1990a,1990b)が前提するようなプレイヤーの自律的行 為能力を重視したいというのが,本研究の立場であった。ヘクシャー=オリン定理を適用すると,綿花の産地であった三備地区で綿素材を中心とした繊維・アパレル産業が形成されたことを理解しやすいであろうし,時代の変化に応じて企業が戦略的に経営の舵を切る様子に着目し,児島地区を中心とした製販ネットワークを産地型集積の一例として捉えることもまた有意義な作業であろう。ジーンズ産地の持続・発展のメカニズムを考察するとき,さらに一歩踏み込んで既存の産業集積論では説明しきれない部分を探し出し,より包括的な理解を構築したいと考えている。そこで<実践コミュニティ>という新しい視座の導入を試みるのだけれども,具体的には,産地内の企業間の切磋琢磨や競争的な試行錯誤が,ジーンズ産地の持続・発展に影響を与えた可能性を探求したいと考えている。ただしその分析作業は,次章以降の課題である。本章では,既存の理論を若干意識しながら,まずデニム・ジーンズや三備地区の簡単な歴史を振り返り,ジーンズ固有の厚地,芯白,綾織といった特性について説明し,三備地区が綿花の産地から紡績,織物,縫製など繊維産地へ発展した流れを追う(第2節)。続いて,企業が戦略的に経営の舵を切っていく「ジーンズ国産化」の流れを追う(第3節)。すなわち他のアパレル製品と比較してデニム・ジーンズの最大の特徴であり,またアメリカのジーンズには本来なかった洗い加工技術を中心にして,三備地区のジーンズ作りに対する取組みを概観する。続いてインタビューを通じて得られた三備地区に関するイメージを報告する。まず集積の主体である企業群を大きく3つの業態に分割し,それらの特徴を理念型として整理し,それぞれのメリットとデメリットを報告する(第4節)。続いて集積メリットのひとつとして,若手経営者の起業を促す要素を考察し,どのような試みが展開されているのかを報告する(第5節)。
出版物タイトル 岡山大学経済学会雑誌
発行日 2007-12
39巻
3号
開始ページ 23
終了ページ 42
ISSN 03863069
関連URL http://eprints.lib.okayama-u.ac.jp/12407/ http://eprints.lib.okayama-u.ac.jp/12383/
言語 日本語
著作権者 岡山大学経済学会
論文のバージョン publisher
NAID 120002304834
JaLCDOI 10.18926/OER/12398
タイトル(別表記) A Study of Tax Reform on the Family Income and Expenditure Survey
フルテキストURL 38_3_001_022.pdf
著者 平野 正樹|
抄録 財政制度の基本は租税制度であり,租税制度は歴史的かつ社会経済的な産物でもある。このため,各時代の社会経済情勢の変化に応じて,財政制度全般が変容を余儀なくされるとともに,租税制度もその変革が求められる。事実,戦後の租税制度は社会経済情勢の変化に対応して,累次にわたって改 革が実施されてきた。現在でも,財政健全化のための一応の目途を早期につけるために,財政制度全般を抜本的に見直し,歳出・歳入両面での一体改革を目指す議論が活発に行われている。具体的には,財政悪化に歯止めをかけるため,2010年代の初頭に財政健全化指標の一つであるプライマリー・ バランス(基礎的財政収支)を黒字化する必要があり,そのためには歳出削減だけでは限界であり,増税,例えば消費税率の引上げはやむを得ないとの見方が拡がっている。また,この消費税率の引上げによる財源は少子高齢化の進展に伴い急増すると見込まれる社会保障費に充当すべきであるとい う,消費税の「福祉目的税化」の議論もある。 ところで,わが国で財政事情が極端に悪化している主因はバブル崩壊以降の景気悪化に伴う税収の落込みや累次にわたる景気対策に加えて,少子高齢化の進展に伴う社会保障費の増加をはじめとした歳出規模の大きさに比較して租税負担の規模が相対的に小さいことが挙げられる。例えば,わが国の 租税負担率を他の主要先進国と比較してみると,わが国はアメリカと同様に低い水準にある。これは現在世代が政府から提供された便益の大きさに応じた租税負担を行わず,巨額な財政赤字という形で将来世代にその負担を先送りしているからである。今後,少子高齢化が一層進展すれば,社会保障費 が急増することは間違いなく,それに応じて租税負担の更なる上昇は不可避であると考えられる。とりわけ,主要先進国の中でも税率が低く,安定的な財源が見込まれる消費税は増税の対象になりやすい。しかし,所得税が税負担の累進性という租税の所得再分配機能を強く持っているのに対して, 消費税には税負担の逆進性という所得再分配機能を弱める働きがある。所得格差に関する議論が高まっている中で,家計への影響力が大きい所得税と消費税の所得再分配機能をどのように考えるべきであろうか。以下では,総務省(旧総務庁)の『家計調査』の中の「勤め先収入」(給与(勤労)所得,勤労者世帯)における所得格差と租税負担率に焦点を当てることで,戦後の所得税や消費税における所得再分配機能を検証したものである。この所得再分配機能の検証結果を踏まえたうえで,戦後の税制改革,とりわけ現行の所得税制を形成したと考えられる1980年代の抜本的な税制改革(租税政策)の背景を概観することによって,今後の税制改革の視点を提供したい。
出版物タイトル 岡山大学経済学会雑誌
発行日 2006-12
38巻
3号
開始ページ 1
終了ページ 22
ISSN 03863069
言語 日本語
著作権者 岡山大学経済学会
論文のバージョン publisher
NAID 120002304808
JaLCDOI 10.18926/OER/12392
タイトル(別表記) Unemployment in France
フルテキストURL 39_201_214.pdf
著者 清水 耕一|
抄録 フランスを含むEU の労働市場は全体として日米に比較して高い失業率で知られている。ユーロスタット(Eurostat)の失業率統計によって1995年までのEU 加盟国(15カ国)の失業率をみると,1995年に平均失業率10%,25歳未満の若者の平均失業率は21.3%であり,2006年の失業率はそれぞれ7.4%と16.1%であった。同時期についてアメリカ合衆国の失業率は,1995年の平均失業率が5.6%,25歳未満の若者の失業率が12.1%であり,2006年ではそれぞれ4.6%と10.5%であった。1990年代以降のアメリカ合衆国の失業率は,EU 諸国以上の高失業率に苦しんだ1980年代と比較すれば大きく低下しているが,1990年代中頃以降は4~6%の範囲で循環的に変動し,この水準で安定している。これに対して,EU15カ国の平均失業率は1990年代の後半から低下傾向を示し,かつて「ヨーロッパの動脈硬化(eurosclérose)」を象徴する現象とみなされていた高失業率は解消されつつあるように思われ る。ところがフランスに注目すれば,平均失業率は1995年の11.1%から2006年の9.4%へと低下傾向を示しているものの,全期間を通じてEU15カ国平均よりも高く,しかも25歳未満の若者の失業率は1995年に28.4%と4人に1人が失業し,2006年においてもなお23.3%と5人に1人が失業している。かつてフランス以上の高失業率国家であったスペインの場合,1995年には平均失業率が18.4%,25歳未満の若者の平均失業率にいたっては39.7%と高率であったが,2006年の平均失業率は8.5%,また25歳未満の若者の失業率も17.6%と失業問題は大きく改善されている。これに対して,フランスは今や西欧のなかで最も失業率の高い国となり,若者の失業問題は憂慮すべき問題であり続けている。このフランスの第2次世界大戦後の平均失業率の推移については3つの局面を区別することができる。第1の局面は1955年から1973年までのいわゆる「栄光の30年」であり,この時期の失業率は1965年まで1~2%で変動し,1960年代後半からやや上昇して2%台で変動するようになったが,フランス経済は完全雇用経済であったといえる。第2の局面は第1次石油ショックの影響が労働市場に影響を及ぼすようになった1974年末から1987年までの時期である。この間,1974年の第4四半期に失業率が3%を越え,その後は1987年の第4四半期の10.7%まで,失業率は年々上昇し続け,1970年代末より失業が重要な社会経済問題になっていく。第3の局面は,1987年以降の局面であり,失業率は景気変動に合わせて変動するようになった。この時期は,平均失業率が11%を越えていた1993-1998年の期間と,1998年の35時間労働法によって雇用創出政策が行なわれ,また経済成長率の上昇の効果もあって失業率が低下傾向を示し始めた1999年以降の時期を区別することができる。以下,本稿はフランスにおける諸研究にもとづいて,この第2期における失業率上昇の原因(第1節),第3期の1990年代の高失業率の原因(第2節),そしてフランスにおける失業の構造的特徴(第3節)を説明することにする。
出版物タイトル 岡山大学経済学会雑誌
発行日 2008-03
39巻
4号
開始ページ 201
終了ページ 214
ISSN 03863069
言語 日本語
著作権者 岡山大学経済学会
論文のバージョン publisher
NAID 120002304879
JaLCDOI 10.18926/OER/12391
タイトル(別表記) Economic Structure and Interdependency between China and Japan
フルテキストURL 38_2_083_098.pdf
著者 滕 鑑|
抄録 中日関係は現在,「政冷経熱」(政治関係は冷え込むが,経済関係は熱い)の状態にある。中日間で政治関係を改善するための糸口がいまだ見えていない中で,経済関係はさらに過熱の様相を呈している。2005年には,日本の対中直接投資が前年比19.8%増の65億3000万ドル(実行金額・受け入れベース)になり3年連続で過去最高額を更新し,また,対中貿易額も前年比12.4%増の24兆9491億円に達して,中国は2年連続でアメリカを抜いて,日本にとっての最大の貿易相手国となった。中日経済の 依存関係の安定的かつ持続的な発展は両国間の経済利益はもとより,政治関係の改善にも寄与するに違いない。上述の問題意識を持ちつつ,本稿では,中国と日本の経済構造および両国の相互依存関係の特徴,そして近年(1990-2000年,以下同じ)における変化を明らかにする。この分析作業は1990-1995-2000年接続中日国際産業連関表(以下,接続中日表)によるものとする1。同接続中日表は多岐にわたる統計情報を利用して推計,作成されたものであり,中日経済の産業連関分析を通じてこのデータベースは実証分析に耐えられるか否かをテストするのが本稿のもう一つの目的である。以下,まず,中日の経済構造の特徴を比較し(第1節),次いで中日経済の分業構造を明らかにする(第2節)。その上で中日経済における相互波及・誘発効果を分析して(第3節),最後に本稿の結果をまとめる。
出版物タイトル 岡山大学経済学会雑誌
発行日 2006-09
38巻
2号
開始ページ 83
終了ページ 98
ISSN 03863069
言語 日本語
著作権者 岡山大学経済学会
論文のバージョン publisher
NAID 120002304850