「異質な他者」への出会いを促す授業例の更なる蓄積のため,ドイツ付近の「夏」の気候と季節感に注目した教科横断的な授業を大学で実践した。授業では,ドイツ付近の気候と季節サイクルの中での「夏」の特徴を把握すると共に,シューベルトの歌曲《春に》を鑑賞した。《春に》の3 番の「夏の間じゅう,ずっと」という歌詞で歌われている情景や情感が,ドイツ付近と日本付近を想定した場合にどう違い得るか,に関する受講生の記述を分析した。その結果,日本の夏の高温多湿な環境からは原詩の情感そのものが成立し難いと感じた学生もいるなど,本実践は,自分たちの「当たり前」とは異なる気候や季節感にも目を向ける機会になり得たといえる。一方,日本とはかなり違う気候背景の中でシューベルトが思い描いたであろう情景・心情に授業で深く迫るための,音楽表現自体への踏み込み方についても,今後検討する必要性が示唆された。