批判的読みは,現代では欠かせない能力であり,学習指導要領にも明記されている。近年,批判的読みの指導に関する研究がなされているものの,内容的な価値の検討や社会的な文脈のなかで捉えることが希薄だとする指摘や,「反省性」という観点に着目した批判的読みを求める声もある。そこで,本稿では,文章そのものを批判的に読むだけでなく,自身の持っている考えをも批判的に捉える(内省する)ことを促す授業を開発した。その手立てとして,複数の社会認識が存在する二つの教材の読み比べたうえで,対立する立場からの意見交換を行うことや,教材に対する評価の記述,その記述(自己の読み)を学習者自身が評価するといった活動を取り入れた。学習者の記述の分析からは,意識的な内省に至らなかった学習者も見受けられたものの,約6割の学習者の記述には変容が見られ,用いた手立ては効果があったと推測できることを指摘した。
反省性 (reflectiveness)
情意的性向 (affective disposition)
複数テクスト (multiple texts)
「現代の国語」 (“Contemporary Japanese Language”)
生物多様性 (biodiversity)