本研究の目的は,小学校体育科,および中学校・高等学校保健体育科の器械運動領域で取り扱われる「側方倒立回転」に関する認識の実態を素朴概念に基づく調査を通して明らかにすることであった。素朴概念とは学習者が日常生活において経験的に獲得した知識,もしくは学校の授業等で学習する科学的概念とは必ずしも一致しない知識を指し示す用語である。本研究にて側方倒立回転という技を取り上げた理由とは,運動の形態上4パターンの実施方法が存在しているにも関わらず,合理的,かつ行い易い実施方法はそのうちの2パターンに限定されるという特殊性にある。本研究では側方倒立回転に対する素朴概念を明らかにするために,その認識を問うためのアンケート調査を実施した。調査期間は2023年6月7月,調査対象はA大学小学校教員養成課程に在籍する学生140名であった。調査の結果140名中35名,割合にすると32.1%が誤った知識を素朴概念として保有していたということが明らかとなった。