本論は,学校外の他者との対話経験が,中学校美術科教員の授業実践においてどのように意味づけられていたのかを明らかにすることを目的とする。市井プロジェクトに参加した教諭Bを対象に,市井インタビュー後に実施された表現活動の授業記録と,授業実践後の追跡インタビューを照合した。その結果,教諭Bは,学校外の他者との対話経験を,授業方法の直接的な変更としてではなく,授業中の判断,生徒理解,題材・表現理解,生活実践との関係において意味づけていたことが確認された。特に,生徒の行動や表現を統制する見方から,その背景や生成過程を見取る見方への移行があった可能性が高い。以上のことから,本論により教師の学びを学校内の研修や同僚性に限定せず学校外の生活世界との関係から捉える意義が示唆された。