本研究では,造形行為において,子どもの「自己」が立ち上がることをその子ども自身の学びとして捉える視点について,木村の文献を手掛かりに検討した。まず,「自我」,「無意識」,「自己」の概念を整理し,造形行為において個々の子どもに経験される学びを考察した。次に,個々の子どもに経験される学びが,活動場所や造形行為を共有する他の子どもへと知られ受容されていく関係が,造形行為の過程で形成されることを考察した。最後に,造形行為において形成される子ども同士の関係へと参与し,同じ経験を共有していくあり方が,子どもの「自己」が立ち上がる学びを捉える視点そのものであることを示した。今後は,芸術教育や芸術実践を対象とした研究により,本研究の知見を深めていく。