本稿は,生徒たちが自己や社会にひかれた境界線への理解を深め(境界線の「上に立つ」),境界線を「別様に引き直す」可能性を追究するというコンセプトで作られたカリキュラム開発プロジェクトのうち,平和教育カリキュラムの開発と実践の成果をまとめたものである。他者存在との共生と協調に関わる概念を,「声」というメタファーに集約させて6つ選定した。生徒たちが,世界に引かれた境界線をどのように理解し,どのように自らの生活の中の境界線を捉えなおそうとしたかについて分析した。カリキュラム構成上の意義と課題に関して,学習した概念の生活認識への転用の困難が明らかとなり,カリキュラムの中に概念の省察と吟味を重点的に行う活動を入れることの重要性が明らかとなった。