本研究は,清田哲男の理論枠組を基盤として,教員が日常生活で出会う市井の他者との対話を通じて創造性や授業観を変容させるプロセスを明確化したものである。市井プロジェクトの質的分析により,教員は他者の生き方や姿勢から新たな価値を受け取り(市井からの享受過程),その経験を契機に教育観を再編し(教育観変容過程),さらに授業構想に具体的変化を生じさせること(授業内容関与過程)が確認された。とりわけ,制度的研修では得にくい偶発的対話や生活知の受容が,教員の創造性を喚起し,日常に根ざした学びとして機能する点が成果である。本研究は,教員自身が学ぶ創造性という新たな研究領域の基盤を形成し,美術教育における創造性育成の新たな可能性を提示した。