本研究では腎臓におけるろ過後,ろ液の成分がどのような物質で構成されているのか,その後の腎臓での再吸収過程を含めて,中学生の腎機能の理解を促す教材開発を試みた。まず,市販の果汁を含む飲料水をメンブレンフィルターでろ過し,ろ液が透明になるのは不溶性物質が除去されるためであること,また,ろ液の甘さから水溶性の糖分はろ過されることを確認した。開発した腎臓糸球体モデルは,腎小体に見立てた蓋に孔を開けたプラスチック容器,赤血球や血液中に存在する様々な物質を模した色や大きさの異なるビーズ,から構成される。生徒は,この教材を用いた授業実践を経て,血球以外の水溶性成分は要不要に関わらず一旦腎小体でろ過されてしまうこと,生体に必要なブドウ糖は尿細管において能動的に再吸収されることを理解し,腎臓のろ過と再吸収に関する新しい考え方と関連する概念を獲得することができた,と考えられた。本研究で開発した教材を用いることにより,生徒の腎臓の役割についての理解を深化させること,同時に自身の健康への関心を高めさせること,について有効であることが分かった。