Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

イチョウイモの多芽体培養による繁殖

Matsubara, Sachiko
Ohmori, Yoichi
Komasadomi, Tomomi
Takada, Yuko
Abstract
ヤマノイモ類は栄養繁殖されるのでウイルス罹病株が多く,かつ繁殖率が低いので苗薯が高価である. そのため無病のイチョウイモ(Dioscorea batatus Decne)の多芽体培養による増殖を試みた. Murashige&Skoog培地を基本培地とし,種々の支持体や植物ホルモンを添加し,ショ糖濃度も変えた. 培養条件は,25℃,20001x人工光による16時間日長とした. 多芽体形成のために,栽培植物のムカゴを無菌培養し,発芽してきた小植物の,1腋芽を付けた茎切片を外植体とした. 20mg/lアンシミドール添加基本培地に植え付けたところ,多芽体が形成された. この多芽体を切り分け,アンシミドール0又は10mg/l添加に植え付け,40日間振盪又は回転培養を行ったとのろ,いずれの方法でも多芽体が形成され,特にアンシミドール添加培地の振盪培養区で増殖率が高く,無添加培地では苗条が伸長した. この多芽体を切り分け,10mg/lアンシミドール,2% ショ糖添加液体培地で振盪培養し,46日間隔で継代培養を7回繰り返した. 増殖率,形成された多芽体の大きさに世代毎の大きな差は見られず,増殖率はほぼ30倍前後であった. これらの多芽体を苗化するため,切り分けた外植体を寒天0.3または0.7% ,gelrite 0.1または0.2% 添加基本培地のいずれかに植え付け,10,20,30日間培養後,順化した. いずれの区でも順化したが,培養期間が長い程発根が早く,gelrite培地の方が短期間の培養でも早く発根した. 多芽体を切り分け,0.2% gelriteと3% ショ糖添加基本培地を入れた培養瓶に植え付け室内に放置しておいた処,2~3か月後にミニチューバーが出来,冬季に一度地上部が枯れた後,春になって既に出来ていたミニチューバーが発芽し,それからの苗条が伸長し,その基部や節にまたミニチューバーが形成された. 以上イチョウイモでは多芽体培養により,1年で307本の小植物を増殖出来,さらに1芽より1年で約1個のミニチューバーが出来る事が分かった。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029