本研究では,音楽教育的観点から幼児歌唱曲の選定のあり方を検討した。その際,小学校の音楽教育で歌唱共通課題として挙げられてきた教材を比較対象とし,その傾向と課題を考察する。1つ目は曲の速度感において歌唱共通教材と選定頻度の高い幼児歌唱曲の平均的な速度において,どの程度の差があるのかという調査を行った。2つ目は,幼稚園と小学校音楽科で共通して用いられる教材曲の作曲された年代の違いについて明らかにした。この2つの調査を用いて,歌唱共通課題に選定されている曲の速度感から現代の子どもの歌の速度感の傾向を明らかにした。この結果から幼稚園教育における幼児歌唱曲のチャートを作成することによって,伝統的に歌い継がれてきた幼児歌唱曲の再考の可能性を示した。
幼保小連携 (Preschool-elementary cooperation)
子供の歌の速度感 (Children’s Song speed)
子供の歌文化 (Children’s singing culture)
伝統音楽 (Japanese traditional song materials)