本研究では他者との関わりを円滑にするものとして共感性に着目した。共感性には,自己指向的な共感,他者指向的な共感といった複数の側面がある。先行研究から,この指向性の違いにより主観的幸福感が違ってくることが示されている。本研究では,主観的幸福感を高める共感性に,自己受容性が関わっているのではないかと考えた。そこで,本研究では,共感性,自己受容性,主観的幸福感の関連を高校生と大学生を調査対象に検討した。分析の結果,高校生は,他者理解への意欲,他者への感情移入が主観的幸福感に影響していた。大学生は,他者理解への意欲が主観的幸福感に影響していた。さらに,主観的幸福感を高めるこれらの共感性に,高校生は自己受容性のうち自己理解が影響していた。一方,大学生は主観的幸福感を高める共感性に,自己受容性は影響していなかった。これらの結果には,高校生と大学生の環境の違いや発達差が関わっていることが考えられた。
共感性(Empathy)
自己受容性(Self-acceptance)
主観的幸福感(Subjective Well-being)
高校生(High-school Students)
大学生(College Students)