本稿では,中等家庭科教員養成課程に在籍する2年生の必修科目「中等家庭科教育法」において,家庭科と他教科を比較(共通点や相違点を整理)する機会を設けることで,受講した学生の家庭科に対する教科観がどのように変容するのかを調査することを目的とした。
その結果,他教科の中学校学習指導要領解説の記載内容から,学生は家庭科と各教科との関連性を認識し,他者の生活に対する価値観や考え方について理解を深めること,個人の生活が社会に影響を与えることについて理解を深めることなど,家庭科の学習が担う役割を新たに認識することができたと推察された。また,授業後の家庭科に対する教科観は,比較対象とした他教科による影響が見られ,「多様な生き方」,「様々な価値観や生き方」,「社会での課題を発見し,改善する力」,「未来の社会をつくる」等の新たな記述が見られた。