ドイツ(連邦共和国)のザクセン邦におけるミッテルシューレ(通算呼称,第5~10学年)に焦点を当て,教科書を手がかりにして,教科生物の特徴を,日本の中学校の教科理科における生物分野との比較を通じて,明らかにした。ザクセン邦では教科生物として設定しており, 日本に比べて週授業時間数が多く, 選択分野もある。また, 人体を取り扱っており,人体分野の一部の内容には, いわば保健の内容が含まれ, ザクセン邦の週授業時間割表から保健がないことがわかるように教科生物で取り扱っている。教科書における学習内容とページ数, 索引の学習分野別割合, 人体分野の取扱いの範囲と順序に関する対比,DNAに関する取り扱う学年と範囲と内容の比較などから判断すれば, 日本の中学校の理科における生物教育とは異なり, ザクセン邦の生物教育の内容が広く,緻密であることがうかがわれる。