近年,わが国においても大学教育における障害学生支援のあり方が注目されつつある。しかしながら,多くの大学は実態把握に着手したばかりであり,実践的な支援システムの構築は今後の課題となっている。そこで,本稿では,州立ハワイ大学マノア校(学生数約2万人)における障害学生支援の取り組み(KOKUAプログラム)に着目し,インタビュー調査を中心にその実際について報告した。KOKUAプログラムは,半世紀近くの歴史を持つ学内の独立した学生支援機関であり,専任職員の配置による組織的な体制が組まれている。KOKUAプログラムの利用者は全学生の約3.2%に上ると推計されており,アシスティブ・テクノロジーを活用した多様な支援が展開されていた。一方,発達障害学生に対する支援方法の構築や,プライバシーの保護を前提とした支援の限界といった課題も残されていた。今後,手続きや内容など各大学の実態に応じた支援システムを早急に検討していく必要があろう。