
検索結果 21693 件
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12419 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Interreg Program in the Italy−Switzerland Border Region―Governance of cross−border cooperation between a EU member state and a non−member state― |
| フルテキストURL | 39_1_001_021.pdf |
| 著者 | 石田 聡子| |
| 抄録 | EU は,域内における地域間の社会的・経済的地域格差の是正を目的とする地域政策を実施している。このEU の地域政策は,各国が個別に取り組んでいる地域政策とは異なり,共同体レベルで取り組む地域政策である。EU の地域政策を実施するための資金提供手段として,欧州地域開発基金(ERDF)・欧州社会基金(ESF)・欧州農業指導保証基金(EAGGF)などから構成される構造基金があり,EU の地域政策の対象地域は,この構造基金からの援助を受けて地域開発プログラムを実行する。構造基金からの援助には,加盟国側からの発案プロジェクトに対する援助と,欧州委員会による発案プロジェクトに対する援助(共同体イニシアチブ)の2種類がある。共同体イニシアチブでは,欧州委員会によって地域開発プログラムのガイドラインが策定され,加盟国は提示されたガイドラインにしたがってプロジェクトの提案を行う。このように,共同体イニシアチブとは共同体が主体となって取り組む地域政策である。本稿で取り上げるInterreg は,共同体イニシアチブ事業の一つであり,国境を越えた地域間協力を促進させることを目的として実施されているプログラムである。Interreg は,Interreg I(1990-1993),Interreg II(1994-1999)を経て、Interreg III(2000-2006)までが実施されている。Interreg III にはA,B,C の区分があり,III A は国境を挟んで隣接する地域間協力(cross−border cooperation),III B はIII A よりも広い範囲を対象とする域内協力(transnational cooperation),III C はヨーロッパを大きく東西南北の4つに区分した地域を対象とする域内協力(interregional cooperation)である。そのうちIII A の主な目は,EU 域内の国境を越えた協力関係を促進することで,EU 域内の統合を深化させることであるが,EU 域外諸国の国境地域との協力関係も対象としている。本稿の対象となるスイスはEU 加盟国ではないが,EU の隣接国としてInterregプログラムに参加している。スイスのInterreg への参加は,ヨーロッパへの統合および地域発展のためのスイス側の政策の一つであり,国境を越えた協力関係の強化,地域の競争力の強化を目的としている。この背景には,EUの拡大およびヨーロッパの政治的・経済的・社会的統合の深化,それに対するスイスの孤立化という状況がある。スイスは,1960年に設立された欧州自由貿易連合(EFTA)の設立当初からのメンバーであるが,EFTA 加盟国が次々にEU に加盟しEFTA を脱退した結果,現在のEFTA 加盟国は,スイス,アイスランド,ノルウェー,リヒテンシュタインの4カ国のみになっている。1994年,EFTA はEC と共に欧州経済地域(EEA)を発足させたが,スイスでは1992年に行われた国民投票によってEEA 協定の批准が否決され,EFTA 加盟国の中で唯一のEEA 不参加国となった。また,EEA 協定批准が否決された結果,EU への加盟交渉も棚上げになった。周囲をEU 加盟国に囲まれ,またEU 諸国との関係が深いスイスにとって,ヨーロッパ統合の流れから孤立することは,特に経済的な面から大い に懸念される問題である。このためスイス政府は,EU およびEEA への不参加によって被る不利益を避ける目的で,EU との間で分野別二国間協定を交渉・締結している。スイスのInterreg プログラムへの参加も対EU 政策の一つであり,特に,隣接諸国との国境地域における国境を越えた協力関係を強化することによって,国民のEU への統合に対する否定的な意識を変えようという意図を持っている。スイスの国境地域で展開されているInterreg プログラムには,(1)バーゼルを中心としたドイツ,フランス,スイス国境地域からなるオーバーライン地域,(2) ドイツ・オーストリア・スイス・リヒテンシュタインを含むアルペンライン地域,(3)フランス・スイス国境地域,そして(4)イタリア・スイス国境地域の4プログラムがある。スイスが関与するInterreg の研究としては,(1)について越境地域連携と構造を分析した伊藤(2003),八木・若森(2006),(3)についてジュラ地域とレマン地域の越境地域間協力の実態を示した清水・石田(2006)がある。これらの研究は,各地域での歴史的経緯,地理的条件,経済状況といった地域特性や,これまでの越境協力活動の経験が,国境地域での協力構造やプログラムの実施状況に影響を与えていることを明らかにしている。伊藤(2003)によれば,オーバーライン地域ではバーゼルを中心とした地域経済圏が形成されていたことから,まず民間主導で越境地域連携が組織され,国-州・県レベルといった政府レベルの地域連携へと展開していった。そしてこの地域における連携は,1990年代以降,Interreg プログラムによって発展していったことが指摘されている。この地域の越境協力ガバナンスの特徴としては,ドイツ,フランス,スイスの越境連携組織構造の間の同一性,対等性があげられるが(伊藤,2003),各国ではその運営に差異が見られ,各州の分立性が高いスイス,州政府と自治体(中心都市であるフライブルク市)が中心となっているドイツ,地方の自立性が弱く中央集権的なフランスといった特徴が反映されていることが指摘されている(八木,若森,2006)。フランス・スイス国境地域を研究した清水・石田(2006)では,地理的要因から相互の交流が乏しかったジュラ地域と歴史的にも緊密な関係が存在していたレマン地域とでは,Interreg プログラムの進展や意義に相違があり,ジュラ地域ではInterreg によって協力関係が組織されるようになったのに対し,レマン地域ではInterreg は地域協力をさらに発展させる役割を果たしていることが指摘されている。本稿では主にInterreg II プログラムの事後評価報告書(LRDP,2003b),およびInterreg III A プログラムの事前評価報告書(Region Lombardia et al.,2001),中間評価報告書(IRS,2003)に基づいて,イタリアとスイスの国境地域における地域間協力の実態を示すことにしたい。対象となる地域は,イタリアとスイスの国境地域の全域をカバーしており,フランス・スイス国境のジュラ地域と同様に,山脈が両国を隔てる自然障壁となっている。北部と南部とでは地理的・経済的特性が異なっており,さらに,東西に長く伸びた対象地域内には3つの言語圏が存在しているという複雑な状況を抱えている。同じように地域内に地理的・歴史的特性の違いを持つフランス・スイス・プログラムは2つのサブプログラムに分けられているが,イタリア・スイス・プログラムは単一のプログラムとして実施されている。以下では,イタリア・スイス間のInterreg プログラム対象地域の地理的・経済的特性を説明した上で,第3節ではInterreg II A プログラムを概観し,問題点を示す。第4節ではInterreg III A プログラムのガバナンスと資金管理の構造,Interreg 事業の現状について示す。 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2007-06 |
| 巻 | 39巻 |
| 号 | 1号 |
| 開始ページ | 1 |
| 終了ページ | 21 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304799 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12415 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Ablösungen der Grundlasten auf dem westsächsischenRittergut Limbach |
| フルテキストURL | 39_2_069_085.pdf |
| 著者 | 松尾 展成| |
| 抄録 | 第1節 ザイデルによる領主制地代償却協定の翻刻(本誌37巻3号) 第2節 全国委員会文書第1659号(本誌38巻1号) 第3節 全国委員会文書第1660号 第4節 全国委員会文書第8173号(本誌38巻2号) 第5節 全国委員会文書第902号 第6節 全国委員会文書第1163号(本誌38巻3号) 第7節 全国委員会文書第6470号 第8節 全国委員会文書第6834号(本誌38巻4号) 第9節 全国委員会文書第10677号(本誌39巻1号) 第10節 封建的諸義務償却一時金の種目別・村別合計額 (1) 封建的諸義務償却一時金の6種目別合計額 (2) 封建的諸義務償却一時金の合計額 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2007-09 |
| 巻 | 39巻 |
| 号 | 2号 |
| 開始ページ | 69 |
| 終了ページ | 85 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304785 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12411 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Gesetzliche Bestimmungen über Ablösungen der feudalenGrundlasten im Königreich Sachsen |
| フルテキストURL | 39_2_041_056.pdf |
| 著者 | 松尾 展成| |
| 抄録 | 第1節 初めに 第2節 封建的諸義務の償却に関する法的諸規定 第3節 委託地代銀行証券に関する法的諸規定 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2007-09 |
| 巻 | 39巻 |
| 号 | 2号 |
| 開始ページ | 41 |
| 終了ページ | 56 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304846 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12410 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Ablösungen der Grundlasten auf dem westsächsischenRittergut Limbach (5) |
| フルテキストURL | 38_4_051_073.pdf |
| 著者 | 松尾 展成| |
| 抄録 | 第1節ザイデルによる領主制地代償却協定の翻刻(本誌37巻3号) 第2節全国委員会文書第1659号(本誌38巻1号) 第3節全国委員会文書第1660号 第4節全国委員会文書第8173号(本誌38巻2号) 第5節全国委員会文書第902号 第6節全国委員会文書第1163号(本誌38巻3号) 第7節全国委員会文書第6470号 (1)保有移転貢租義務者全員の氏名と不動産および保有移転貢租償却地代額 (2) 保有移転貢租償却地代額・償却一時金額の合計 第8節全国委員会文書第6834号 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2007-03 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 4号 |
| 開始ページ | 51 |
| 終了ページ | 73 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304837 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12408 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | An Essay on Comparative Case Analyses in Management Studies, Part I. |
| フルテキストURL | 38_4_039_050.pdf |
| 著者 | 藤井 大児| |
| 抄録 | 本稿は,経営学の分野で,比較事例分析という研究方法が,どのように理論産出に貢献しうるかを考察することを目的とした作業の一部である。 経営学の文脈では,実証的研究方法として事例研究が頻繁に実施されている。しかしながら,成果として提出される理論がどの程度妥当なものと認められ得るのかについて,常に批判に晒されるリスクを負っている。単純ではあるけれども,もっとも強力な批判の矛先は,ごく少数の事例を見ただけ では,仮説の検証という意味では心もとない,というその一点に向けられている。確かに事例研究に対する擁護者は存在するけれども,投稿論文でも「仮説」という用語を論文に用いるや否や,匿名査読者から例外なく容赦ない批判を浴びせられるのが現実である。 そもそも事例研究は,仮説の普遍的妥当性を主張するものではない。登場する行為者の目的や動機,さらに行為者間の相互作用過程にまで踏み込んだ,内部一貫した論理展開を行うことのほうが,経営現象をより深いレベルで理解できるはずだという認識が,その主張の根底に流れている。事例分析を行う研究者は,仮説の検証ではなくて,理論産出を目指すのが良いと言い換えられるかもしれない。この目的に照らせば,既存の研究蓄積との対比で問題が提起され,理論的主張に対して事例記述が例証と位置づけられることによって,事例研究は成り立つことになる。 ただしその主張にたどり着くまでの調査過程で,どのような問題を提起し,どのような主張を展開すべきなのかに迷ってしまうことがある。というのは,しばしば事例記述のためのデータ収集には長い時間と多大な労力がかかるために,どこに向かうべきなのか「腹を括る」よりも前に実質的な試行 錯誤を始めざるを得ないからである。 毎日図書館に通って,高度経済成長の最中に出版された(しかも開けばまだ真新しい)新聞の縮刷版をひっくり返したり,やっとの思いでキー・パーソンへのアクセスがかなったにも拘わらず,気の利いた質問のひとつもぶつけられずに悔しい思いをしたり,調査協力者に内容確認を依頼した結果,公表を辞めるよう求められたり,どこに向かうとも知れない憂鬱な作業は続く。さらにその事例については他の誰よりも詳しく通じてしまった結果,理論的な整理が付かないまま膨大な事実を草稿の中で列挙してしまうというのも,多かれ少なかれ誰にでもあり得る。これらのことが定性的な研究方法は「職人仕事」であると皮肉られる理由にもなっており,とくに仮説検証を重視する人々にとっては,追試可能性の低さと結びつけて,格好の批判材料を提供することになる。本稿の意図が,こうした見解に加担することではないのは言うまでもない。しかしながら,筆者自身が事例研究を行う立場だからこそ,それがあまりに感性とか根性論に訴えねばならないもののように思われて,歯がゆい思いをすることも多いのである。 以上のような試行錯誤のプロセスは,研究者として駆け出しの間は当然避けられないものだけれども,標準的とは言わないまでも「何かしら有意義な理論の産出に辿りつくまでに最低限やっておくと良いこと」という意味での研究作法があればこそ,研究者コミュニティ全体での知識の効率的蓄積が可能というものである。その研究作法が,産出された理論の確からしさを一定程度保証してくれる方法論的配慮がなされたものであれば,より望ましい。 ここで有用なアドバイスが,グレイザー・シュトラウス(1967)に求められる。理論産出に主眼を置き,「理論的サンプリング」による絶えざる比較法を用いることで,研究者の着眼は理論的にも有 意味な構成概念へと昇華させることができると示唆されている。理論的サンプリングとは,まず十分な分散を確保したデータがあることを前提としたランダムサンプリングとは対照的に,理論的に有意義と考えられる比較対象を分析者が意図的に選択し,比較分析を何度も繰り返すことで,新たな構成 概念を発見するというものである。 ただし残念なことに,この文献は一読して理解できるという性質のものではない。読者が自らの経験や知識を当てはめながら少しずつ解釈を加えていかないことには,著者の豊かな含意を捉え損なうものである。そこで筆者は,いくつか参考になりそうな文献を渉猟しながら,比較作業が理論の産出 という研究作業にどのような指針を与え,最終的な理論的主張に対して方法論的な正当性をどのように与えうるのかを議論することにした。 筆者自身は経営学を専攻としており,グレイザーらは医療現場を分析対象としている社会学者であるので,両者の認識ギャップを埋める作業は容易ではない。いくらか遠回りのようではあるけれども,まず本稿では経営学者としてグレイザーらの所論に依拠しつつ,実際に比較事例研究を実践した 研究者の著作に当たることから始めようと考えている。続いて次稿以降では,グレイザーらの研究領域である医療現場の社会学を対象にして,彼らの意図するところをより深く掘り下げていくことを予 定している。最終的には,筆者自身の立場を明らかにする作業が必要になるけれども,それはもう少し先のこととなろう。 本稿は,いわば先人の研究実践を事例研究することを通じて,筆者なりの研究作法を探る試行錯誤プロセスの一環であり,相撲で言えばぶつかり稽古のようなものである。 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2007-03 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 4号 |
| 開始ページ | 39 |
| 終了ページ | 50 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304919 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12407 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Evolving Technical Capabilities in Turmoil : A Field Research on The Value Chain Network of Denim Jeans Industry in The Setouchi District (1) |
| フルテキストURL | 39_2_001_020.pdf |
| 著者 | 藤井 大児| 戸前 壽夫| 山本 智之| 井上 治郎| |
| 抄録 | 本稿は,岡山大学経済学部と(財)岡山経済研究所の共同研究プロジェクトの一環として行われた調査研究の報告書に加筆修正を加えたものである。その報告書は,会員組織である岡山経済研究所の会員向け冊子として配布される予定であり,それとは別に経営学などの研究者に向けて成果を公表することが,本稿の目的となっている。紙幅の制約上,いくつかの独立した論考としての体裁をとりながら連続して掲載する予定であり,その構成は以下の通りである。 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2007-09 |
| 巻 | 39巻 |
| 号 | 2号 |
| 開始ページ | 1 |
| 終了ページ | 20 |
| ISSN | 03863069 |
| 関連URL | http://eprints.lib.okayama-u.ac.jp/12400/ http://eprints.lib.okayama-u.ac.jp/12383/ |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304912 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12406 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Variations in medical expenses for the elderly and the economic issues |
| フルテキストURL | 38_4_021_038.pdf |
| 著者 | 知野 哲朗| |
| 抄録 | 少子高齢化の進展のみならず,疾病構造の変化,急速な医療技術や医学知識の発展など,医療分野を取り巻く環境条件の大きな変化によって,医療資源の配分は様々な影響を受ける。一般に,市場機構ではなく制度・規制を通じた非市場的な資源配分の仕組みが実施される領域では,環境条件の変化に対する対応が制度・規制の調整(つまり制度改革や規制の変更等)を通じて行われる。この調整が適切に実施されない場合,資源配分上および所得分配上の問題が深刻化することになる。医療分野のように環境条件の大きな変化のもとで,現行の医療制度を通じた資源配分は効率性のみならず,医療支出や負担の格差という所得分配上の問題も発生させることになった(Tokita, et al. (1997),知野(2005)(2006))。しかし,2006年6月には制度改革を目的とする医療制度関連法案が成立した。と くに本稿との関係では新たな高齢者医療制度が2008年に創設されることになる。現在,同法案の目的に沿って具体的な施策が検討・実施されつつある)。 本稿では新たな高齢者医療制度の導入に先だって,現行老人保健制度のもとにおける老人医療の格差問題とその課題について都道府県別の医療費データを中心に明らかにすることが目的である。それは次の3つの具体的な目的に関係する。第一に,本稿が対象とする都道府県レベルの分析について言えば,今後の改革では,都道府県が新たな高齢者医療費制度,医療費適正化政策,保険者機能などという点において重要な役割を担うことから注2),都道府県単位の研究成果が一層の重要性を有するようになるということである。第二に,今までの我々の一連の研究(知野(1998)(2003)(2005),Tokita, Chino, and Kitaki(1999),知野・杉野(2004))に関連したことであるが,本稿では介護保険制度が導入された2000年以降のデータを追加することによって,高齢者医療費の変動と格差に関する特徴と課題をあらためて検討するという目的がある。最後に,近年では医薬分業の進展が著しく,これを考慮したとき,高齢者の入院外診療に係る費用の都道府県レベルにおける変動と格差がどのような特徴と問題を有しているのかを検討することである。 論文の構成は次の通りである。1節では老人保健制度下における老人医療の負担の仕組みを説明した後,「老人医療費」の内容およびその費用の時系列的な推移を検討する。2節では「老人医療費」のうち診療費に限定して,高齢者の入院診療費と入院外診療費を取り扱う。それらの診療費について 都道府県レベルの変動と格差に関するデータの時系列分析を行ってその特徴と問題を明らかにする。3節では医薬分業の進展について検討し,高齢者の院外処方の薬剤費が都道府県レベルでどのような変動と格差が存在するのかを吟味する。4節では医薬分業を考慮して高齢者の入院外診療費に,その 院外薬剤費を加えた費用を検討する。この合計費用が都道府県レベルでどのような変動と格差が存在するのかを吟味する。 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2007-03 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 4号 |
| 開始ページ | 21 |
| 終了ページ | 38 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304915 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12405 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Ablösungen der feudalen Grundlasten auf dem südsächsischen Rittergut Purschenstein (1) |
| フルテキストURL | 39_3_057_100.pdf |
| 著者 | 松尾 展成| |
| 抄録 | 第1節全国償却委員会文書第1852号 (1) 貢租償却協定 (2) 償却年地代・一時金合計額 第2節全国償却委員会文書第1853号 第3節全国償却委員会文書第1892号 (1) 賦役・貢租償却協定 (2) 償却年地代・一時金合計額 第4節全国償却委員会文書第2023号 (1) 賦役・貢租償却協定 (2) 償却年地代・一時金合計額 第5節全国償却委員会文書第2024号 (1) 賦役・貢租償却協定 (2) 償却年地代・一時金合計額 第6節全国償却委員会文書第2025号 (1) 賦役償却協定 (2) 償却年地代・一時金合計額 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2007-12 |
| 巻 | 39巻 |
| 号 | 3号 |
| 開始ページ | 57 |
| 終了ページ | 100 |
| ISSN | 03863069 |
| 関連URL | http://eprints.lib.okayama-u.ac.jp/13171/ |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304807 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12404 |
|---|---|
| フルテキストURL | 38_4_001_019.pdf |
| 著者 | Azizi Mohammad Najeeb| 春名 章二| |
| 抄録 | It is significant to thoroughly scrutinize past practices and feats, to identify important factors towards developmental failure and success and to avoid mistakes for the future of an industrialized and prosperous Afghanistan. As a result of profound research, a number of researchers have added to the literature on the country’s history, culture, wars, strategic importance and position as a buffer state that cover Afghan polity, ideological dimensions, and social and cultural intricacies. However, few scholarly works exist on the political economy in general and on the historical economic performances and policies in detail. Drawing upon immense and varied literature, the purpose of this paper is to analyze and describe historical and social changes, economic structures and strategies of Afghanistan with a detailed account of (i) political vision, (ii) institutional reforms, (iii) economic agendas, and (iv) development progress in the light of economic development theory and practice. We conclude that being provided right policies and firm political determination, Afghanistan has the potential to become a more developed country in the short span of time. |
| キーワード | Economic History Development Economics Afghan Economy |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2007-03 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 4号 |
| 開始ページ | 1 |
| 終了ページ | 19 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 英語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304845 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12402 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Mieczys aw W. Socha, Bart omiej Rokicki “Euroregions on the Polish Eastern Border (2)” |
| フルテキストURL | 38_3_057_089.pdf |
| 著者 | 田口 雅弘| |
| 抄録 | 本稿は,ミェチスワフ・W・ソハ(Mieczys aw W. Socha)教授(ワルシャワ大学経済学部マクロ経済・外国貿易理論講座),バルトゥウォミェイ・ロキツキ(Bart omiej Rokicki)氏(ワルシャワ大学経済学部博士課程院生)の共著による「ポーランド東部国境地帯のユーロリージョン(Euroregiony na wschodniej granicy Polski)」(Feb., 2005, mimeo)の翻訳である。これは,文部科学省科学研究費補助金研究「ノーザンディメンション-拡大EU とスラブ圏の域際交流の拡大によるヨーロッパ経済空間の再編-」(基盤研究B(1),課題番号16330052),研究代表者:立正大学経済学部・蓮見雄)の基礎研究として執筆された報告書の翻訳である。4.ポーランド東部地域を含むユーロリージョン a.ユーロリージョン・バルト b.ユーロリージョン・ブグ c.ユーロリージョン・カルパチア d.ユーロリージョン・ウィナ=ワヴァ e.ユーロリージョン・ニエメン f.ユーロリージョン・ビャウォヴィエジャ原生林 5.ポーランド東部諸県の経済の特徴 (以上,本号) |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2006-12 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 3号 |
| 開始ページ | 57 |
| 終了ページ | 89 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304816 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12401 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Ablösungen der Grundlasten auf dem westsächsischen Rittergut Limbach (4) |
| フルテキストURL | 38_3_033_056.pdf |
| 著者 | 松尾 展成| |
| 抄録 | 第1節ザイデルによる領主制地代償却協定の翻刻(本誌37巻3号) 第2節全国委員会文書第1659号(本誌38巻1号) 第3節全国委員会文書第1660号 第4節全国委員会文書第8173号(本誌38巻2号) 第5節全国委員会文書第902号 (1) 建築賦役義務者全員の氏名とその不動産 (2)建築賦役償却協定本文 (3)建築賦役償却地代額・償却一時金額の合計 第6節全国委員会文書第1163号 (1)賦役義務者全員の氏名とその不動産 (2)賦役償却協定本文 (3)賦役償却地代額・償却一時金額の合計 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2006-12 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 3号 |
| 開始ページ | 33 |
| 終了ページ | 56 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304892 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12398 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | A Study of Tax Reform on the Family Income and Expenditure Survey |
| フルテキストURL | 38_3_001_022.pdf |
| 著者 | 平野 正樹| |
| 抄録 | 財政制度の基本は租税制度であり,租税制度は歴史的かつ社会経済的な産物でもある。このため,各時代の社会経済情勢の変化に応じて,財政制度全般が変容を余儀なくされるとともに,租税制度もその変革が求められる。事実,戦後の租税制度は社会経済情勢の変化に対応して,累次にわたって改 革が実施されてきた。現在でも,財政健全化のための一応の目途を早期につけるために,財政制度全般を抜本的に見直し,歳出・歳入両面での一体改革を目指す議論が活発に行われている。具体的には,財政悪化に歯止めをかけるため,2010年代の初頭に財政健全化指標の一つであるプライマリー・ バランス(基礎的財政収支)を黒字化する必要があり,そのためには歳出削減だけでは限界であり,増税,例えば消費税率の引上げはやむを得ないとの見方が拡がっている。また,この消費税率の引上げによる財源は少子高齢化の進展に伴い急増すると見込まれる社会保障費に充当すべきであるとい う,消費税の「福祉目的税化」の議論もある。 ところで,わが国で財政事情が極端に悪化している主因はバブル崩壊以降の景気悪化に伴う税収の落込みや累次にわたる景気対策に加えて,少子高齢化の進展に伴う社会保障費の増加をはじめとした歳出規模の大きさに比較して租税負担の規模が相対的に小さいことが挙げられる。例えば,わが国の 租税負担率を他の主要先進国と比較してみると,わが国はアメリカと同様に低い水準にある。これは現在世代が政府から提供された便益の大きさに応じた租税負担を行わず,巨額な財政赤字という形で将来世代にその負担を先送りしているからである。今後,少子高齢化が一層進展すれば,社会保障費 が急増することは間違いなく,それに応じて租税負担の更なる上昇は不可避であると考えられる。とりわけ,主要先進国の中でも税率が低く,安定的な財源が見込まれる消費税は増税の対象になりやすい。しかし,所得税が税負担の累進性という租税の所得再分配機能を強く持っているのに対して, 消費税には税負担の逆進性という所得再分配機能を弱める働きがある。所得格差に関する議論が高まっている中で,家計への影響力が大きい所得税と消費税の所得再分配機能をどのように考えるべきであろうか。以下では,総務省(旧総務庁)の『家計調査』の中の「勤め先収入」(給与(勤労)所得,勤労者世帯)における所得格差と租税負担率に焦点を当てることで,戦後の所得税や消費税における所得再分配機能を検証したものである。この所得再分配機能の検証結果を踏まえたうえで,戦後の税制改革,とりわけ現行の所得税制を形成したと考えられる1980年代の抜本的な税制改革(租税政策)の背景を概観することによって,今後の税制改革の視点を提供したい。 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2006-12 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 3号 |
| 開始ページ | 1 |
| 終了ページ | 22 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304808 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12397 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Problems of the “Washington Consensus” and the Road to its Overcome : Towards Application of the “Post−Washington Consensus” to Latin America. |
| フルテキストURL | 39_3_001_022.pdf |
| 著者 | 盛 真依子| |
| 抄録 | 本稿の目的は,「ワシントン・コンセンサス」をベースとした1990年代のIMF・世銀による途上国に対する政策が,1990年代後半の厳しい批判によってどのように修正されたのか,またその修正された政策は開発途上諸国の希望する改革と矛盾せず,すり合わせが可能であるのかを検討することである。本稿では,検討の対象としてラテンアメリカの国々を選んだ。IMF・世銀が,1980年代末から1990年代前半にかけてラテンアメリカをはじめとする開発途上諸国に対して要求した「新自由主義」に基づく政策の思想的ベースは「ワシントン・コンセンサス」と呼ばれる。西側政府機関,民間金融機関も初めはこの方針と共同歩調をとったが,1990年代後半からこの政策の問題点が頻繁に指摘されるようになった。現在,開発途上諸国では,自由化による経済成長戦略より,貧困問題などの社会問題をより重視する傾向が強まってきている。この傾向に沿ってIMF・世銀はその政策を柔軟に変化させようとしている。こうした潮流の変化の中で,IMF・世銀は「ワシントン・コンセンサス」の問題点を修正しながら開発途上諸国支援を続け,一定の成果を修めてきている。一方で,開発途上諸国においても新しいコンセンサスや経済の仕組みが提示されている。本稿では,このようなIMF・世銀内外で活発化している「ワシントン・コンセンサス」後の新しい改革を模索する動き全体を「ポスト・ワシントン・コンセンサス」と称することにする。本稿では,まずはじめに「ワシントン・コンセンサス」が形成された背景を簡単にまとめる。次に,IMF・世銀の政策変化,IMF・世銀の政策に対する批判を検討する。そして,「ワシントン・コンセンサス」に対するオルタナティブとしての性格を持つ中南米における経済再生プログラムを整理・分析し,これらが理念的・政策的にIMF・世銀の政策と対立するものなのか,または相互補完的な性格を持つものなのかを考察する。 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2007-12 |
| 巻 | 39巻 |
| 号 | 3号 |
| 開始ページ | 1 |
| 終了ページ | 22 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304831 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12396 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Mieczys aw W. Socha, Bart omiej Rokicki “Euroregions on the Polish Eastern Berder (1)” |
| フルテキストURL | 38_2_147_159.pdf |
| 著者 | 田口 雅弘| |
| 抄録 | 本稿は,ミェチスワフ・W・ソハ(Mieczys aw W. Socha)教授(ワルシャワ大学経済学部マクロ経済・外国貿易理論講座),バルトゥウォミェイ・ロキツキ(Bart omiej Rokicki)氏(ワルシャワ大学経済学部博士課程院生)の共著による「ポーランド東部国境地帯のユーロリージョン(Euroregiony na wschodniej granicy Polski)」(Feb., 2005, mimeo)の翻訳である。これは,文部科学省科学研究費補助金研究「ノーザンディメンション-拡大EU とスラブ圏の域際交流の拡大によるヨーロッパ経済空間の再編-」(基盤研究B(1),課題番号16330052),研究代表者:立正大学経済学部・蓮見雄)の基礎研究として執筆された報告書の翻訳である。はじめに 1.EU におけるトランスボーダーリージョン間協力発展の必要性の理論的根拠 2.EU のトランスボーダーリージョン 3.ユーロリージョン活動におけるINTERREGⅢの役割 (以上,本号) |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2006-09 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 2号 |
| 開始ページ | 147 |
| 終了ページ | 159 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304901 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12395 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Ablösungen der Grundlasten auf dem westsächsischenRittergut Limbach (3) |
| フルテキストURL | 38_2_129_145.pdf |
| 著者 | 松尾 展成| |
| 抄録 | 第1節ザイデルによる領主制地代償却協定の翻刻(本誌37巻3号) 第2節全国委員会文書第1659号(本誌38巻1号) 第3節全国委員会文書第1660号 (1) 賦役・現物賃租義務者全員の氏名とその不動産 (2) 各義務的不動産の土地負担とその償却地代額・償却一時金額 (3) 償却地代額・償却一時金額の合計 第4節全国委員会文書第8173号 (1) 保有移転貢租義務者全員の氏名とその不動産および償却地代額・償却一時金額 (2) 償却地代額・償却一時金額の合計 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2006-09 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 2号 |
| 開始ページ | 129 |
| 終了ページ | 145 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304783 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12392 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Unemployment in France |
| フルテキストURL | 39_201_214.pdf |
| 著者 | 清水 耕一| |
| 抄録 | フランスを含むEU の労働市場は全体として日米に比較して高い失業率で知られている。ユーロスタット(Eurostat)の失業率統計によって1995年までのEU 加盟国(15カ国)の失業率をみると,1995年に平均失業率10%,25歳未満の若者の平均失業率は21.3%であり,2006年の失業率はそれぞれ7.4%と16.1%であった。同時期についてアメリカ合衆国の失業率は,1995年の平均失業率が5.6%,25歳未満の若者の失業率が12.1%であり,2006年ではそれぞれ4.6%と10.5%であった。1990年代以降のアメリカ合衆国の失業率は,EU 諸国以上の高失業率に苦しんだ1980年代と比較すれば大きく低下しているが,1990年代中頃以降は4~6%の範囲で循環的に変動し,この水準で安定している。これに対して,EU15カ国の平均失業率は1990年代の後半から低下傾向を示し,かつて「ヨーロッパの動脈硬化(eurosclérose)」を象徴する現象とみなされていた高失業率は解消されつつあるように思われ る。ところがフランスに注目すれば,平均失業率は1995年の11.1%から2006年の9.4%へと低下傾向を示しているものの,全期間を通じてEU15カ国平均よりも高く,しかも25歳未満の若者の失業率は1995年に28.4%と4人に1人が失業し,2006年においてもなお23.3%と5人に1人が失業している。かつてフランス以上の高失業率国家であったスペインの場合,1995年には平均失業率が18.4%,25歳未満の若者の平均失業率にいたっては39.7%と高率であったが,2006年の平均失業率は8.5%,また25歳未満の若者の失業率も17.6%と失業問題は大きく改善されている。これに対して,フランスは今や西欧のなかで最も失業率の高い国となり,若者の失業問題は憂慮すべき問題であり続けている。このフランスの第2次世界大戦後の平均失業率の推移については3つの局面を区別することができる。第1の局面は1955年から1973年までのいわゆる「栄光の30年」であり,この時期の失業率は1965年まで1~2%で変動し,1960年代後半からやや上昇して2%台で変動するようになったが,フランス経済は完全雇用経済であったといえる。第2の局面は第1次石油ショックの影響が労働市場に影響を及ぼすようになった1974年末から1987年までの時期である。この間,1974年の第4四半期に失業率が3%を越え,その後は1987年の第4四半期の10.7%まで,失業率は年々上昇し続け,1970年代末より失業が重要な社会経済問題になっていく。第3の局面は,1987年以降の局面であり,失業率は景気変動に合わせて変動するようになった。この時期は,平均失業率が11%を越えていた1993-1998年の期間と,1998年の35時間労働法によって雇用創出政策が行なわれ,また経済成長率の上昇の効果もあって失業率が低下傾向を示し始めた1999年以降の時期を区別することができる。以下,本稿はフランスにおける諸研究にもとづいて,この第2期における失業率上昇の原因(第1節),第3期の1990年代の高失業率の原因(第2節),そしてフランスにおける失業の構造的特徴(第3節)を説明することにする。 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2008-03 |
| 巻 | 39巻 |
| 号 | 4号 |
| 開始ページ | 201 |
| 終了ページ | 214 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304879 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12391 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Economic Structure and Interdependency between China and Japan |
| フルテキストURL | 38_2_083_098.pdf |
| 著者 | 滕 鑑| |
| 抄録 | 中日関係は現在,「政冷経熱」(政治関係は冷え込むが,経済関係は熱い)の状態にある。中日間で政治関係を改善するための糸口がいまだ見えていない中で,経済関係はさらに過熱の様相を呈している。2005年には,日本の対中直接投資が前年比19.8%増の65億3000万ドル(実行金額・受け入れベース)になり3年連続で過去最高額を更新し,また,対中貿易額も前年比12.4%増の24兆9491億円に達して,中国は2年連続でアメリカを抜いて,日本にとっての最大の貿易相手国となった。中日経済の 依存関係の安定的かつ持続的な発展は両国間の経済利益はもとより,政治関係の改善にも寄与するに違いない。上述の問題意識を持ちつつ,本稿では,中国と日本の経済構造および両国の相互依存関係の特徴,そして近年(1990-2000年,以下同じ)における変化を明らかにする。この分析作業は1990-1995-2000年接続中日国際産業連関表(以下,接続中日表)によるものとする1。同接続中日表は多岐にわたる統計情報を利用して推計,作成されたものであり,中日経済の産業連関分析を通じてこのデータベースは実証分析に耐えられるか否かをテストするのが本稿のもう一つの目的である。以下,まず,中日の経済構造の特徴を比較し(第1節),次いで中日経済の分業構造を明らかにする(第2節)。その上で中日経済における相互波及・誘発効果を分析して(第3節),最後に本稿の結果をまとめる。 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2006-09 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 2号 |
| 開始ページ | 83 |
| 終了ページ | 98 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304850 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12389 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Theories of Entry Deterrence |
| フルテキストURL | 39_4_193_200.pdf |
| 著者 | 大西 一弘| |
| 抄録 | The limit pricing model by Bain, Sylos−Labini and Modigliani is a famous theory on entry deterrence. A single incumbent firm or a coordinated cartel competes against a single potential entrant. The limit pricing model assumes that the incumbent firm can continue to produce at its pre−entry output level regardless of the potential entrant’s actions. However, it has been pointed out that the limit pricing model is unrealistic and only an empty threat. That is, it is possible to judge the success of the incumbent firm’s strategic behavior only if the decisions that the incumbent firm made prior to entry cause changes in the post−entry competing environment. Irreversible behavior, such as the installation of machinery and equipment, can be said to be the essence of competition among firms. The possibility of firms using excess capacity to deter entry has been studied by many economists. This paper surveys theories of entry deterrence. |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2008-03 |
| 巻 | 39巻 |
| 号 | 4号 |
| 開始ページ | 193 |
| 終了ページ | 200 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304849 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12387 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Interreg Programs in the French and Swiss Border Regions |
| フルテキストURL | 38_2_023_046.pdf |
| 著者 | 清水 耕一| 石田 聡子| |
| 抄録 | EU の共同体イニシアティブの1つであるInterreg プログラムの主な目的は,EU 内の国境を挟む地域間の市民レベルでの協力関係を発展させ,国境を越えた地域間統合を進めることであるが,Interregには国境を接するEU 内地域とEU 外地域との間の協力関係を促進するという目的も含まれている。本稿の対象はこの後者のケースに属すフランスとスイスの国境地域におけるInterreg プログラムである。スイス・フランス間のInterreg に関しては,バーゼル国境地域あるいはオーバーライン地方というフランス,ドイツ,スイスの3カ国が接する地域に関する伊東(2003)と八木・若森(2006)の研究が存在するが,本稿の対象とする地域に関する研究は存在しない。よって,本稿では,主にInterreg II の『事後評価報告書』(LRDP,2003a,2003b)とInterreg IIIA の『中間評価』(Evaluanda,2003)に依拠して,フランス・スイス間の越境地域間協力の実態を示すことにしたい。なお,本稿が対象とするケースはInterreg プログラムのうち,国境を挟む地域間の協力事業プログラムであり,これは 歴史的に1990~1993年のInterreg I,1994~1999年のInterreg IIA および2000~2006年のInterreg IIIA へと発展してきている。本稿の対象となる地域のInterreg プログラムは,オーバーライン地方と同様に,EU 内のフランスとEU 外のスイスとの間の越境地域間協力事業である。対象となる地域は,フランス側ではリヨン(Lyon)を中心都市にもつローヌ・アルプ(Rhône−Alps)地域(レジョン)の東北部と,ブザンソン(Besançon)を中心都市とするフロンシュ・コンテ(Franche−Comté)地域の東部であり,スイス側ではバーゼル(Basel)とジュネーヴ(Genève)を結ぶスイス西部のフランス語地域である。よっ て,この両地域には言語の障害は存在しない。また歴史的には,ジュネーヴはローヌ・アルプ・レジョンのオート・サヴォワ(Haute−Savoie)県との結びつきが強く,ジュネーヴとアンヌマス(Annemasse)は国境を挟んだ大都市圏を発展させている。さらに労働市場を見れば,両地域の経済状態を反映していると言えるが,フランス側からスイス側への越境通勤者が多く(約4万人),経済的結びつきも深いように見える。実際,ピット(2003)はフランスのトランスボーダー地域の分類において,ジュネーヴ地域をリール地域と並ぶ「国境を越えた隣接地域間に密接な結びつきをもつ地域」に分類していた。ただし,Interreg II の『事後評価報告書』(LRDP,2003a)によれば,フランス・スイス国境地帯の孤立状態は中程度であるとされており,孤立状態の最も低いオーバーライン地方やフランス・ベルギー国境地帯ほどの緊密な結びつきはない。しかも,フランス・スイス国境地帯 は北部と南部では地理的・歴史的特性が異なり,ジュネーヴを中心としたレマン地域では地域連携が比較的緊密であるのに対して,北部のジュラ山脈という自然の障害をもつジュラ地域ではレマン地域ほど結びつきは強くない。このような地域的特性を反映して,Interreg IIA プログラムでは,ジュ ラ・プログラムとローヌ・アルプ・プログラムが別々に実施されてきた。よって以下では,Interreg対象地域の地域的特性を説明(第2節)した後に,まずはInterreg IIA のジュラ・プログラムとローヌ・アルプ・プログラムを概観して問題点を示す(第3節)。次いで,両プログラムをサブプログラムに包摂したInterreg IIIA フランス・スイス・プログラムのガバナンス上の特徴と問題点を示すことにする(第4節)。 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2006-09 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 2号 |
| 開始ページ | 23 |
| 終了ページ | 46 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304788 |
| JaLCDOI | 10.18926/OER/12386 |
|---|---|
| タイトル(別表記) | Turnaround Strategy in Small and Medium Enterprises |
| フルテキストURL | 38_2_001_021.pdf |
| 著者 | 谷 行治| 榎本 悟| |
| 抄録 | 本論文ではターンアラウンドを成功させた中小企業について,ターンアラウンドの危機的状況とそこから脱出するターンアラウンド戦略の特徴を明らかにする。戦略がないと指摘される日本企業であるが,ターンアラウンド状況においては出血を止める短期的取り組みの「縮小戦略」と持続的競争優位をつける長期的取り組みの「復帰戦略」が必要である。特に後者の場合,特定市場に特定製品を集中させ競合他社との差別化を図り競争優位を確立するためには戦略的視点が重要となる。これら戦略に加え,ターンアラウンドを成功させるためには,リーダーシップの発揮やステークホルダーの支援 などをとりつける必要がある。この研究では,Robbins & PearceⅡ[1992]の「縮小戦略」と「復帰戦略」を時間軸の視点として捉え,さらに,その時間軸上においてSlatter & Rovett の「ターンアラウンドに必要とされる7つの要素」がどのように展開されるかを大企業と中小企業において同じフレームワークを用いた分析を試みる。そして,中小企業のターンアラウンド戦略の特色を提示したい。 |
| 出版物タイトル | 岡山大学経済学会雑誌 |
| 発行日 | 2006-09 |
| 巻 | 38巻 |
| 号 | 2号 |
| 開始ページ | 1 |
| 終了ページ | 21 |
| ISSN | 03863069 |
| 言語 | 日本語 |
| 著作権者 | 岡山大学経済学会 |
| 論文のバージョン | publisher |
| NAID | 120002304889 |