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ID 705
Eprint ID
705
フルテキストURL
タイトル(別表記)
The Changes of Phenotypic and Gene Frequencies of Esterase-D Isozyme in Japanese Quail by Full-sib Mating
著者
佐藤 勝紀 岡山大学
餘語 秀司 岡山大学
藤井 博尚 岡山大学
河本 泰生 岡山大学
猪 貴義 岡山大学
抄録
本研究は,全きょうだい交配によって近交世代を進めた場合の日本ウズラのエステラーゼDアイソザイムの表現型頻度と遺伝子頻度の変化について検討した. 材料は当研究室で無作為交配によって維持した閉鎖集団から作出した近交群と無作為交配群である. これらの交配群から得た成雌雄ウズラの血球エステラーゼDアイソザイムがデンプンゲル電気泳動法により検出された. 得られた結果は要約すると以下の通りである. 1.系統数,家系数は近交群では1世代目38系統38家系で出発したが,近交世代に伴い急激に減少し,5世代目では3系統12家系となった. これに対して,無作為交配群では40家系が維持された. 2.近交群では,FF型の表現型頻度は4世代まで近交世代に伴い徐々に増加する傾向がみられた. FS型の表現型頻度は2世代までは近交に伴い急激な減少がみられたが,その後の世代では増加する傾向が認められた. またSS型の表現型頻度は近交に伴いわずかに増加する傾向がみられたが,3代以降の世代では減少した. これに対して,無作為交配群では世代に伴う変化は認められなかった. 3.近交群では,Es-DFの遺伝子頻度は2世代目0.307から3世代目0.458となり,2世代から3世代目にかけて増加した. 一方Es-Dsの遺伝子頻度は2世代目0.693から3世代目0.542となり,3世代目では減少した. これに対して,無作為交配群ではいずれの遺伝子頻度も世代に伴う著しい変化は認められなかった. 4.近交群では,FF型の観察値は4世代まで期待値と適合した. またFS型とSS型の観察値は2世代までは期待値と適合したが,それ以後の世代では適合しなかった. これに対して,無作為交配群では観察値と期待値は適合した. 5.近交群では,生存系統が絶滅系統に比較してFS型のヘテロ接合体頻度は高く,一方SS型のホモ接合体頻度は低くなる傾向がみられた. 6.以上の結果から,日本ウズラにおいて近交世代を進めた場合エステラーゼDのヘテロ接合体はホモ接合体に比べて有利であること,および近交退化は遺伝子のホモ接合体の増加とポリジーン系のヘテロ性の低下に起因することが示唆された。
発行日
1986
出版物タイトル
岡山大学農学部学術報告
出版物タイトル(別表記)
Scientific Reports of the Faculty of Agriculture Okayama University
67巻
1号
出版者
岡山大学農学部
出版者(別表記)
Faculty of Agriculture, Okayama University
開始ページ
23
終了ページ
32
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029
資料タイプ
紀要論文
言語
日本語
論文のバージョン
publisher
査読
無し
Eprints Journal Name
srfa