本稿は、1990年代から開始されたフランスの教員養成制度の抜本的な改革について、初等学校教員の養成を対象に主として法制上での整理と紹介をする。伝統的な師範学校による独占的な初等学校教員の養成を維持してきたフランスでは、新たに大学付設教師教育部を創設し、学士号取得(大学卒業)者を対象とした2年過程の統一的な、そして採用試験とリンクさせた教員養成システムを発足させた。その特徴は、第1学年修了時に採用試験を実施し、合格者(試補採用者)を第2学年に進級させること、大学に付設することで主として教科専門教育において大学のスタッフの協力を求めること、長期間の教育実習をコアにした教育課程の展開などがあげられる。