越智 浩二
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
立花 英夫
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
松本 秀次
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
妹尾 敏伸
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
田中 淳太郎
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
原田 英雄
岡山大学医学部附属環境病態研究施設成人病学分野
慢性膵炎が進行すると膵内外分泌不全に対する治療が主体となる。かつては膵疾患に由来する糖尿病(膵性糖尿病)においては糖尿病性合併症の発症が少ないとされていたが,慢性膵炎の長期経過観察例の増加とともにその頻度が一次性糖尿病にくらべて必ずしも低くないことが指摘されるようになった。そこで今回,厚生省難治性膵疾患調査研究班「慢性膵炎の新しい治療法の開発」小委員会の研究活動の一環として膵性糖尿病の治療法を再検討することになったのを機会に,その手始めに野性糖尿病の合併症に関する従来の報告を整理した。その結果,一次性糖尿病の場合にくらべて,細小血管症(網膜症,腎症,神経障害)はほぼ同程度であるが軽症例が多いこと,大血管症(心筋梗塞,脳硬塞,動脈硬化症)は少ないことが示唆された。そのほか,膵性糖尿病の合併症の発症に関与すると考えられる諸因子についても概説した。
膵性糖尿病 (Pancreatic diabetes)
慢性膵炎 (Chronic pancreatitis)
合併症 (Complications)