鳥取温泉の深度300mに及ぶ試錐のボーリング・コアを検討した結果,主成分鉱物として,石英,長石類(斜長石,加里長石,)と二次的生成鉱物としてモンモリロナイト,カオリナイト,イライト,緑泥石,黄鉄鉱などを認めた.このうち,イライトは堆積岩中に普遍的に存在し,更に緑泥石も全般的にしかも第三紀層で多量に認められている.モンモリロナイトは方解石と共に温泉による生成が考へられ,また,カオリナイトは表土層にのみ認める事ができる.一方,加里長石,黄鉄鉱,緑泥石の産出状態,及びコアが示す粒度,酸化状態からして第四紀層の堆積環境が推定され,25mを境として下部は数回の陸化を含む浅い堆積層であるのに対し,上部は比較的深い.背後供給地から離れた海成層を示唆する.