細菌細胞は細胞質膜の外側に細胞壁を有しており,それによって一定の形態を保持している.この細胞壁を有する親株が壁合成阻害剤,リゾチーム等により誘導され,細胞壁が脱落したままで増殖しうる細胞になったのがL型菌であ
る(3)).ブドウ球菌のL型菌を例にとっても,細胞壁を有しないためL型菌細胞は一定の形を呈しない.大きさの点でも0.2μm以下のものから5μm以上に至る幅広い細胞が混在しており,細胞内電子密度においても様々に異なったものが存在している1)~4).大型細胞中には空胞が形成されその空胞の中に小型もしくは中型細胞が存在していることもある.このように非常に多形性に富んだ細胞群であるため分裂機構や増殖単位の解析の点においては不明の点が多い.そこでより詳細に細胞形態を把握し,増殖単位との関連を明らかにする目的で,ブドウ球菌安定L型菌をフリーズフラクチャー法により電顕観察を行なった.