側頭葉てんかん患者39例の海馬萎縮をMRIを用いて評価し,臨床像との関連を検討した。MRIの冠状断short SE像で海馬の幅を計測し,萎縮側海馬の村側海馬に対する比(a)を求め,海馬萎縮(+)群;a<0.8,11例,境界群;0.8≦a<0.9,13例,海馬萎縮(-)群;a≧0.9,15例の3群に分けた。海馬萎縮(+)群で罹病期間が長い傾向があった。また,発作間歇期脳波の焦点側は海馬委縮(+)群の11例中9例で萎縮側と一致した。しかし,発病年齢,MRI撮影時年齢,発作頻度,全般化発作の有無,抗てんかん薬総服用量,知能障害,精神症状,生下時仮死の有無については3群間で差が認められなかった。この結果から,側頭葉てんかんにおける海馬萎縮は,生下時や全身けいれん発作時の低酸素状態によるものではなく,脳局所の反復するてんかん性発射と関連する可能性が示唆され,海馬萎縮の機序を考えるうえで興味深く思われた。
側頭葉てんかん (temporal lobe epilepsy)
海馬委縮 (hippocampal atrophy)
罹病期間 (clinical history)
MRI
発作間歇期脳波 (interictal EEG foci)