自閉スペクトラム症児は,相互伝達行為の獲得に遅れがあることが指摘されている。本研究では,自閉スペクトラム症の診断のある知的障害特別支援学校小学部1年生男児を対象に,相互伝達行為の獲得を目指して,遊びを中心とした指導を行った。その結果,対象児の遊びが「感覚運動的遊び」「機能的遊び」から「象徴的遊び」「社会的遊び」へと移行するに伴い,相互伝達行為が見られるようになった。また,教師による働き掛けへの応答も見られるようになり,ポジティブな情動の共有が生み出されやすい遊びの環境設定が,相互伝達行為の獲得において効果的であったことが示唆された。遊び環境については,1)魅力的な玩具,2)魅力的な玩具を介した教師との遊び,3)対象児の遊びの発達段階に応じた介入,4)情動の共有を促す共感的関わりの4点が相互伝達行為の獲得を促した可能性が考えられた。
自閉スペクトラム症 (a Child with Autism)
相互伝達行為 (Intersubjective Communication)
情動の共有 (effective sharing)
遊びの環境設定 (Setting of Play)