本研究は,音楽熟達教師は学習者の何をいかに見ているのか,リコーダー演奏場面に対する教師の視線分析を通してその特徴について明らかにしたものである。今回は予備実験として,リコーダー演奏場面の動画を刺激として用い,被験者20 名(音楽専門家10 名,音楽専門の小学校教師2名,大学生8名)を対象にアイトラッカーを装着して動画の視聴調査を実施した。その結果,(1)被験者は未熟な演奏に対して注視する傾向にあること,(2)音楽専門家と小学校教師は「手元」または「顔」に視線が集中する傾向があること,一方で(3)音楽専門家と小学校教師の視線は,「手元」または「顔」に視線が集中するものの,指導助言の言及内容にはそれ以外の内容も多く含まれていることが明らかとなった。また,演奏者を捉えるときには,視線が優位ではない場合があることが示唆された。