本研究では,自閉スペクトラム症(ASD)または注意欠陥多動性障害(ADHD)のある小学生3名を対象に,テーブルトーク・ロールプレイングゲーム(TRPG)を用いた余暇活動を実施し,児童同士のコミュニケーション行動の変容について検討した。加藤ら(2019)による「いただきダンジョンRPG」において,ゲーム上の場面区分「探索フェイズ」「戦闘フェイズ」が,児童同士の発話量と発話内容にどのような変化をもたらすかについて,実際の活動場面からトランスクリプトを作成して分析した。その結果,児童同士の発話量が「探索フェイズ」「戦闘フェイズ」の両方において増加し,発話内容も多様化した。この結果から,TRPG を用いた余暇活動は,同年代の他者とのコミュニケーションや交流機会の成功体験を蓄積できる活動として,ASD 児にとって有用であることが示唆された。
ASD(Autism Spectrum Disorder)
TRPG(Table-Talk Role Playing Game)
コミュニケーション(Communication)
余暇活動(Leisure Activities)