中国は,2008年に国連「障害者権利条約」を批准し,インクルーシブ教育の実現に向けた教育形態として随班就読を導入している。随班就読の展開により,障害のある児童生徒の就学問題に新たな変化がみられるはずであるが,その実態に関する継続的な分析は十分とはいえない。そこで,本研究は随伴就読の導入経緯と実施状況に関する動向を分析することにより,その運用に関する今日的課題を明らかにすることを目的とした。その結果,随班就読の対象者は顕著な増加傾向を示していた。しかし,随伴就読の担当教員に関するデータは公表されておらず,その実態を早急に把握することも課題である。特殊学校教員における人数や特殊教育専攻者数は着実な増加傾向がみられるものの,随班就読の担当教員の専門性の確立が求められている。また,随班就読の対象の拡大や基準の見直しも議論されており,さらなる教育環境の整備にも取り組まなければならないことを指摘した。
中華人民共和国(China)
特殊教育(Special needs education)
随班就読(Learning in Regular Classrooms)