本稿では,歌唱における発声について,共鳴の視点から,発声を習得する上での問題点や共鳴に対する課題について検討した。合唱指揮者や指導者等の発声における共鳴の捉え方では,共鳴は,頭蓋骨のすべての共鳴腔,音高と声区,声量,顎の開き,蝶形骨等の骨との密接な関係があり,音色形成との複雑な関連性があることを確認した。次に小中学校の学習指導要領や音楽教科書の発声記述について概観した結果,小中学校を通して,段階的に共鳴について,イメージと生理学的面から児童生徒に学習させていることが示された。教員養成学部に在籍する学生に対する発声の質問紙による実態調査では,共鳴は難しい領域という共通認識があり,特に,発声の自己評価が低めのグループにその傾向が強くみられた。生理学的な理解,イメージ的な表現,実際に生成される声,これら相互の関係を解明する必要がある。