本稿は、小学校の政治学習における主権者教育の一例として、「政策カード」を活用した立候補型の模擬市長選挙プログラムを開発し、その実践を通した教育的意義や課題について明らかにするものである。はじめに、小学校政治学習における模擬選挙の実践例を概観し、立候補型の模擬選挙である長瀬(2021)の実践に注目した。その上で、児童の政策立案の質を高めるための工夫として「政策カード」を用いたエリシテーションを取り入れるプログラムを開発し、小学校6 年生の政治単元で実践した。実践結果から、本プログラムは、児童が政策を立案する側に立って自治体の将来を考えることができるという点や、多様な声を反映させるという政治の難しさを体験的に理解できるという点で意義があったが、政策立案活動の真正性や投票規準の明確化に関して、教師の指導やプログラム自体の改善を進める必要があることが明らかになった。