岡山大学大学院教育学研究科研究集録
Published by 岡山大学大学院教育学研究科

ISSN 1883-2423

社会科とリテラシー教育の統合における教師のゲートキーピング : 社会正義志向の教師に関するアメリカの研究が示唆するもの

山田 秀和 岡山大学大学院教育学研究科 社会・言語教育学系 Kaken ID publons researchmap
発行日
2018-11-28
抄録
 教科の指導と汎用的な資質・能力の育成をどのように結びつければよいのか。本研究では,アメリカにおける社会科とリテラシー教育の統合に着目して,この問いへのアプローチを試みる。特に,本稿では,社会科教師がどのようにリテラシー教育に向き合い,カリキュラムや授業を調整しているのか,すなわち,どのように教師がゲートキーピングを行っているのかについて考察する。  社会正義志向の教師に関するアメリカの研究に手がかりを求めて考察したところ,以下の四点が示唆された。①現代のスタンダード化されたリテラシー教育の要請は,社会正義志向の教師にとって必ずしも望ましい状況ではないこと,②しかし,自らのカリキュラムや授業にリテラシー教育を無理なく適合させたり,リテラシー教育を統合することでより社会正義志向のカリキュラムや授業へと変革を図ったりする教師もいること,③その際のゲートキーピングとして,「現実的なカリキュラムや授業の調整」のあり方と「革新的なカリキュラムや授業の調整」のあり方が見られること,④アメリカの研究では,以上のような教師の実態が実証的に分析され,明らかにされていること。
キーワード
社会科
リテラシー教育
統合
ゲートキーピング
社会正義
ISSN
1883-2423
NCID
AA12338258
NAID
JaLCDOI