本研究は,生活科の授業改善とその指導力育成について,次の二点から論じていこうとするものである。第一は,近年の学校教育改革,特に平成29 年の小中学校の学習指導要領改訂を受けて,小学校の生活科の目標,内容,方法がどのように変化したか,それによって生活科の授業づくりがどうなっていくかを,提示された学習指導要領解説を読み解きながら明らかにしていくことである。そして,第二には,岡山大学大学院教育学研究科が近年取り組んできた教科内容構成研究の成果をふまえて,生活科を指導する教員の力量をどのように育成していけばよいかについて,大学の教員養成カリキュラムにおいてどのような授業を設定するかという点から論じていく。近年の教育改革は,学校の教育課程の改革が注目されるだけではなく,指導する教員の養成をどのように改善していくかということが同時に進められるのが特徴である。授業改善とそれを指導する教員の力量形成を関連付けながら論じていくことと,その二つを教科内容構成研究という,近年,岡山大学が先進的に取り組んできた教員養成カリキュラム改革の成果をふまえてつなげていくことが,本研究の特質である。両者を連続的に検討することで,近年求められている教員のキャリア形成における養成と研修の一体化の具体的な進め方にかかわる方針を提案することができるであろう。