佐藤信夫他2006『レトリック事典』は,西洋と日本のレトリックを広く見渡し,多くのレトリック技法を体系的に整理した好著であるが,国語教育的な観点から見ると,不十分な点もないわけではない。ここでは「表現形態の《あや》」,すなわち挿入・省略・転置・反復・代換などについて,不十分な点を具体的に指摘し,さまざまな補足説明を試みる。例えば,挿入については指導例や外延の問題,省略については主語の省略の問題,転置については認定のしかたと指導例,反復については種類と問題点,代換についてはよく使われる構文について,私見を述べる。