社会問題としての子ども・青年の暴力は,近年,新たな局面を迎えている。本研究は,これら「暴力」が学校教育における現代的課題であることを,以下の論考を通じて論証することを目的としている。まず第1に, ドイツとわが国における理論的枠組みの比較検討を通して,1990年代までの両国における暴力把握のあり方の共通点を明確にする。次に,90年代以降わが国において急速に拡大したサブカルチャーの影響と子ども・青年の暴力の関係を検討する。これらの結果から,わが国における子ども・青年における「暴力」の捉え方を見直すことを通して,主体形成の新たな疎外形態として暴力を捉え直す。