Okayama Economic Review
Published by the Economic Association of Okayama University

Re-Thinking the Locus of Innovation

Huang, Qi
Fujii, Daiji Kaken ID researchmap
Published Date
2025-07-24
Abstract
 本論文は,イノベーションの発生源に関する先行研究を振り返り,「いつ」「どこで」「誰によって」イノベーションが生み出されるのかを理論的に考察することを目的とする。考察の結果,「B to B」の文脈においては,イノベーションの発生源が企業ユーザーへ移行するメカニズムとして,取引コスト理論,期待利益仮説,情報粘着性の仮説,企業内部の独自能力(吸収能力),および外部の産業構造(製品アーキテクチャ・エコシステム)といった複数の要素からなる経済的合理性の観点から分析されていることが明らかになった。一方,「B to C」の文脈では,エンドユーザーがイノベーションに向かう動機として,「ニッチ市場に対するメーカーの消極的な対応」「創造的活動の楽しさ」「ユーザーコミュニティとの繋がり」「知識・スキルの向上」など多種多様な要素が存在し,中でも創造的活動の楽しさが根源的な動機づけの1つであると確認された。一方で,イノベーターを突き動かす心理的要因をブラックボックス化したまま放置することは,単なる知的好奇心の問題に留まらず,社会科学としての経営学にとっても重要な問題であると考えられる。今後のイノベーションの発生源研究においては,起業家をはじめとするイノベーター個人の心理的側面にいかに目を向け,創造的活動におけるポジティブな感情が働くメカニズムをイノベーションの発生メカニズムにいかに位置づけるか,その研究アプローチの提示が求められる。
Keywords
イノベーションの発生源 (Locus of Innovation)
ユーザーイノベーション (User Innovation)
経済的合理性 (Economic Rationality)
内発的動機づけ (Intrinsic Motivation)
フロー体験 (Flow Experience)
Note
論説 (Articles)
ISSN
2433-4146
NCID
AN00032897
JaLCDOI