Annual Reports of Misasa Medical Center, Okayama University volume73
2003-02-01 発行
1982年から2002年までの21年間の当医療センターで入院加療した2129例を対象に5年間毎にその年次推移を検討した.2129例のうちわけは,気管支喘息1311例(61.5%),COPD467例(21.9%),その他351例であった.1. 気管支喘息は,第1期(1982-1986年)の5年間では,平均11.4例/年であったが第4期(1997-2001年)では平均93例と初期と比べ8.1倍の増加が見られた.また,そのなかのSDIA (steroid-dependent intractable asthma)の頻度は初期の68.4%から第4期では28.9%にまで低下する傾向を示した.2. COPD症例は,初期の5年間(1982-1986年)では平均5.2例/年から第4期には45.4例へと8.7倍の増加が見られた.また,そのなかの肺気腫が占める割合いは初期の19.2%から第4期では78.5%と明らかな増加傾向を示した.なお,昨年度の1年間では,第4期の5年間(1997-2001年)とほぼ同様の傾向を示したが,全般的な傾向としては気管支喘息症例がやや減少し,一方肺気腫症例が増加する傾向が見られた.3. 気管支喘息およびCOPD症例の年齢別検討では,60歳以上の症例の頻度は第1期では30.1%だあったが,第4期では68.0%,そして昨年度は85.4%と,年々その頻度は高くなっていく傾向が見られた.すなわち,最近21年間の年次推移からは,温泉療法を必要とする呼吸器疾患患者が増加しつつあること,そしてその年令は年々高くなる傾向にあることが示された.