Annual Reports of Misasa Medical Center, Okayama University volume60
1989-07 発行
1982年1月から1988年12月までの7年間に三朝分院内科に入院し,温泉療法を受けた気管支喘息93例を対象に,その背景因子,免疫アレルギー学的要素および温泉療法の臨床効果について総合的に検討した。1.年齢の平均は52.6才,発症年齢の平均は41.7才であり,両者ともやや高齢であった。2.血清IgE値の平均は506.2IU/mℓであった。300IU/mℓ以下の症例は59例(63.4%)であり,半数以上の症例が血清IgE値正常ないし低値を示した。3.皮内反応ではカンジダに陽性を示す症例が44例と最も多く,次にハウスダスト(以下HDと略す)26例,スギ13例,キヌ8例であった。4.換気機能検査では気管支攣縮型において換気機能の低下傾向が最も少なく,細気管支閉塞型で換気機能の低下傾向が特に% MMF,% V(50),% V(25)のような細気管支の閉塞を示すパラメーターの低下傾向がより高度であった。5.対象症例の臨床病型は気管支攣縮型が47例でほぼ対象症例の半数を占め次いで気管支攣縮+過分泌型29例,細気管支閉塞型17例の順であった。6.温泉療法の全般的有効率は79.6%であった。臨床病型別では細気管支閉塞型17例中16例(94.1%)が有効例であり,細気管支閉塞型で最も有効例がみられた。