わが国の死因の第一位が脳卒中であり,第三位に心臓疾患が挙げられることは周知のことである.また虚血性心疾患に関しては,欧米で多くの研究がなされ,DawberらによるFramingham Study,Keysらによる七ケ国協同研究などによって,脂質代謝異常,高血圧,心電図異常と虚血性心疾患との関連が明らかにされてきた.ところで心電図の判定は,集団検診の持つ性格から所見の客観化,定量化が必要となり,W.H.O(1))ではミネソタコードを採用し,本邦でも日本循環器管理研究協議会がミネソタコードの一部を改変して使用している(2)).脳卒中に関しても多くの研究がたされているが,本邦における脳卒中死亡は,諸外国に比して明らかに高い(3)4))ことが報告されている.さらに,本邦では脳卒中,虚血性心疾患ともに高血圧が最も重要なRisk Factorとしてとり挙げられているが,特に前者では,その意義が強調されている(5)).著者らは昭和41年以来岡山県,関係保健所および町村との協力のもとに,岡山県下の平坦地,中間地,山間地の三地区計1,906名を対象として,血圧および心電図を中心に循環器疫学調査を行っているが,今回は血圧と心電図の経年的変化について成績を述べる.