ネコ脳灌流法を用いて頸動脈系に一定条件下でGABAおよびその関連物質を注入し,脳波,脳血流量,体側血圧に及ぼす作用を調べ,各物質の作用力価を比較した.被検物質はGABA, β-ヒドロキシーGABA, β-フェニール-GABA, γ-ヒドロキ酪酸, γ-ヒドロキシ-β-アミノ酪酸, γ-アミノブチリルコリン, ホモカルノシン, カルノシン, γ-グアニジノ酪酸である.脳波変化をきたすものでは,その変化はいずれも徐波群発などの抑制作用を示した.脳波抑制作用を示したものにGABA, BH-GABA, BP-GABA, GH-BA, Carnosineがある.このうちGABAの作用が最も弱く,BH-GABA, Carnosineがこれに続ぎ,GHBAとBP-GABAが最も強い作用を示した.Homocarnosine硫酸塩とGGBA塩酸塩では逆に発作発射をきたしたが,これは塩の作用と考えられる.脳血流量の変化をきたす場合には,いずれも流量増大の傾向を示した.脳血流量増大作用を示したものにBH-GABA, BP-GABA, GHBA, Carnosineがあるが,このうちBP-GABA, GHBA, Carnosineが著明であつた.体側血圧の変化をきたす場合には,いずれも降圧的に作用した.降圧作用を示したものにGABA, GABA-Ch, Homocarnosine, Carnosine, GGBAがあるが,このうち, GABA, GABA-Chの作用が強かつた.また,GABAで脳波変化をおこす脳血中有効濃度を求めるため,GABAの各投与量に〔u-(14)C-GABA〕を加え,流出脳静脈血中の放射能を回収し,その経過図から脳血中に5mg/ml以上のGABAが存在する時間だけ脳波が抑制されることがわかつた.