乳斑糖原質ノ消長ヨリ見タル中樞性糖尿ニ於ケル「アドレナリン」血症ノ疑義

中樞性糖尿ノMechanismusニ關シテハ大別スレバ三樣ノ説アリ. Bernard, Eck-hard, Pflüger氏等ハ糠中樞ヨリノ興奮ハ交感神經系ヲ經テ肝ニ直達スルモノナリト論ジ, Blum, Mayer氏等ハ交感神經ヲ經テ副腎ニ達シ其ノ分泌亢進ヲ惹起シ「アドレナリン」血症ヲ招來スルニ因ルモノナリトナシ, Nishi, Tammann氏等ハ副腎ト肝ハ神經ヲ以テ連絡スルモノナラント推論シ, Kahn, Trendelenburg氏等ハ肝直達説ト副腎介在説トノ折衷説ヲ唱ヘ, 各自々説ヲ高唱シテ互ニ讓ラズ. 著者ハ諸種ノ實驗的糖尿病ニ於ケル乳斑糖原質ノ消長ヲ檢セシ所, ソノ糖原量ハ中樞性糖尿症ニ於テハ著シク増加シ, 末梢性糖尿症ニ於テハ之ニ反シラ甚シキ消耗乃至消失ヲ來ス. 又「ヂウレチン」注射ニヨリテ増量セル糖原質ハ「アドレナリン」注射ニヨリテ著シク減少スルヲ確認セリ. 本實驗成績ハ中樞性糖尿ノ本態ヲ「アドレナリン」血症ニ歸セントスル説トハ相容レザル所, 從ツテ中樞性糖尿症ト末梢性糖尿症トハソノ本態ニ於テ同一ノモノト見做スヲ得ズ.

原著