本論は,社会的事象を立場と領域というマトリクス構造から考察して課題解決に迫る「マトリクス・メソッド」
という思考ツールを活用した授業展開と,高旗1 の提唱する「自主協同学習の理論」の実践を同時に行った中学
校社会科の実践報告である。
実践の結果,マトリクス・メソッドの持つ二つの機能,つまり事象を多面的・多角的に帰納的に分析する「帰
納的機能」と,意見の根拠の裏付けとなる情報収集をグループで配分し学習過程の協同化を実現する「配分的機能」
を生かした授業の有効性が明らかになった。また,自主協同学習の理論の実践の分析から,マトリクス・メソッ
ドの有効性を担保する集団形成の要因として,コミュニケーションに関する因子とともに学級自治に関する因子
が存在することが明らかになった。