本稿では,1974 年公表の大場牧夫の保育構造論について,彼の保育構造論の成立・発展史の中に位置づけた上で,その成果に基づきつつ,また,先行研究の成果も参考にしながら,新たな視点を加えて,再分析し再考察している。1974 年公表の大場の保育構造論は,彼の保育目的を実現するであろう三層構造カリキュラムを成立させた最初の保育構造論である。その中には,保育目的を実現できる保育者の働きかけ全体を確実に生み出すための基本的な考え方と諸工夫が示されている。また,その基本的な考え方を示す三層六領域構造は,あくまで基本的な考え方であり,この分け方ではとらえられない例外的なものも認めようとする柔軟性のあるものである。