本研究では小学生を対象に,意図的にゆっくり走る「スロージョギング」を体育授業に導
入する可能性について教育実践的に検討した。研究①では,小学1年から6年生140人を対
象に,1回の授業(走行時間は学年に応じて8分~12分,走るスピードは時速4km)を実
践し,授業前には形態,体力,運動が好きか嫌いかの調査を,授業前後には持久走に対する
イメージ調査(楽か,楽しいか,気持ちいいかをそれぞれ4点満点で評価)を行った。研究
②では,小学5年生27人を対象に,3時間(1時目は時速6キロのスピードで5分間を2回,
2時目は時速6キロのスピードで続けて15分間,3時目は自分に合っていると思うゆった
りしたペースで続けて15分間走る)の単元を組んで授業を行い,単元前後で研究①と同様
の持久走に対するイメージ調査と20mシャトルランを行った。その結果,単元(授業)前
に比べ後で,持久走に対するイメージが肯定的に変化したことに加え,運動嫌い,低体力や
肥満傾向の児童においてこの傾向が顕著であった。また,単元前に比べ後でシャトルラン回
数が有意に増え,単元前のシャトルラン回数が少なく有酸素的体力が低い児童ほど単元後に
回数が増えていた。