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ID 7833
Eprint ID
7833
フルテキストURL
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タイトル(別表記)
ブタ体外受精卵子の雄性前核形成に関する研究
著者
澤井 健 岡山大学
抄録
The objective of the present study was to examine the effects of various factors responsible for male pronuclear (MPN) formation associated with glutathione (GSH) synthesis of pig oocytes. In the first series of experiments, when cumulus-enclosed oocytes were cultured for 24 h in maturation medium supplenlented with 0.57 mM cysteine, GSH concentration of oocytes was increased. However, the activation of oocytes after sperm penetration in vitro was inhibited and thereby MPN formation of the oocytes was not promoted. The MPN formation in activated oocytes after sperm penetration at any stages of maturation was promoted when cysteine was added to maturation medium. The results indicate that an increased concentration of GSH and intimate synchronization with oocyte activation are essential for MPN formation of pig oocytes. In the next series of experiments, it was shown that, when cysteine was removed from maturation medium at 36 h of culture, both the incidence of MPN formation after in vitro fertilization and GSH concentration of lmatured oocytes were lower than when cysteine was present during whole period of culture for 48 h. In contrast, the presence of cysteine in maturation medium only bc~tween 42 and 48 h of culture, when oocytes reached to the late metaphase-I to metaphase-II stage, could promote oocyte GSH synthesis and thereby MPN formation after in vitro fertilization. The results indicate that the presence of cysteine in maturation medium for 6 h of the last phase of maturation is essential for oocyte GSH synthesis enough to induce MPN formation with the same efficiency as in oocytes matured in the presence of cysteine from the start of culture. The effects of cystine, an oxidized form of cysteine, added to maturation medium at various times after culture on the MPN formation and GSH synthesis of cumulus-enclosed and cumulus-free oocytes were examined in the third series of experiments. When maturation medium was supplemented with 0.57 mM cystine, MPN formation and GSH synthesis of cumulus-enclosed oocytes were accelerated, but not in cumulus-denuded oocytes. On the other hand, cysteine (0.57 mM) could promote MPN formation and GSH synthesis in both cumulus-enclosed and cumulus-denuded oocytes. The results indicate that cystine is associated with increased GSH synthesis and MPN formation of pig oocytes and that the presence of cumulus cells is essential for the utilization of the cystine by oocytes. In contrast, cysteine is utilized directly by oocytes without cumulus cells for GSH synthesis and MPN formation. Taken together, it is concluded from these results that synchronization of oocyte activation and sperm penetration, and the addition of exogenous compounds such as cysteine or cystine to maturation medium are important factors for GSH synthesis of matured oocytes and MPN formation of oocytes following fertilization. The presence of cumulus cells associated with utilization of cystine by oocytes is also an important factor.
抄録(別表記)
家畜こおける初期肺の体外生皮技織の確立は、優良な遺伝形質を持つ個体を効率的に増産する手段として極めて重要である。しかし、ブタでは体外成熟卵子を体外受精した場合、多精侵入が高率に起こり、さらに卵子内に侵入した精子の雄性前核(MPN)形成率が低いため、正常な1-細胞期胚を体外で作出することは困難である。最近、高濃度(0.57mM)のシステインを添加した成熟培地でブタ卵子を培養した場合、受精後のMPN形成の促進されることが報告されたが、その作用機序の詳細は知られていない。そこで本研究では、MPN形成に対するシステインの作用機構を明かにする目的で、成熟過程におけるシステインと他の幾つかの要因がブタ体外受精卵子のMPN形成におよぽす影平について検討し、次のような新しい知見を得た。I. 成熟途上ブタ卵子のMPN形成におよぼすシステインの影響 ブタでは卵子成熟の各段階で精子侵入の可能なことが報告されているが、このような未熟侵入卵子ではMPNはほとんど形成されない。そこで本実験では、システインの存在下で各成熟段階に到達した卵子のMPN形成能について検討した。ブタ卵子をシステイン(0.57mM)添加または無添加の修正TCM-199B(mTCM-199B)で0-48時間培養した。培養開始後12時間ではほとんど全ての卵子(98-100%)が卵核胞期にとどまっていたが、その後、培養の継続にともなって核成熟は進行し、培養開始後48時間では88-90%の卵子が第二減数分裂中期に到通した。卵子内のグルタチオン(GSH)濃度は、システインを添加した場合、培養後24時間の卵子(10.5mM)において培養開始前の卵子(6.7mM)よりも有意に高い値を示し、その値は培養開始後48時間まで維持されたが、システイン無添加では、GSH濃度の増加はみられず、逆に培養開始後48時間でのGSH濃度(4.3mM)は有意に減少した。培養開始後24、36および48時間の卵子を体外受精(IVF)した結果、培養開始後24時間で侵入した卵子の活性化率(22%)は低かったが、活性化された卵子におけるMPN形成率はシステイン添加(71%)において無添加(22%)よりも砧かった。一方、培養開始後36および48時間における侵入卵子の活性化率は83-100%と高く、MPN形成率はシステイン添加(84-85%)において無添加(23-36%)と比較して有意に高かった。システインを添加した成熟培地で24時間培養した卵子をシステイン添加または無添加の培地でIVFした結果、卵子の活性化およびMPN形成率に差はみられなかった。受精14時間後にこれらの卵子をシステイン無添加の成熟培地に移し24時間追加培養した結果、卵子の活性化は促進されなかったが、中期像染色体を形成した精子核が観察された。II. システイン添加の時期および期間がブタ卵子のGSH合成およびMPN形成におよぽす影響 本実験では、MPN形成の重要な要因と考えられているGSH合成に影響をおよぼすシステイン添加の種々の条件について検討した。システイン(0.57mM)を添加したmTCM-199Bで0-36時間培養した後、無添加培地に移し48時間後まで培養を継続した卵子のMPN形成率(31-75%)およびGSH濃度(4.0-7.2mM)は、全培養期間中システインが存在していた場合(それぞれ、90%および11.5mM)と比較して有意に低かった。一方、培養開始後36時間に至るいずれの時間にシステインを添加しても、MPN形成率(85-92%)およびGSH濃度(10.2-11.9mM)は高かった。システインの添加時期が培養開始後36-42時間の範囲では、添加時期の相違によるMPN形成率(86-90%)に差はみられなかったが、培養開始後45時間でシステインを添加するとMPN形成率(60%)は有意に低下した。培養開始後42および45時間から3時間のみシステインを添加した場合、MPN形成準(65-70%)は、培養開始後42時間から培養終了までシステインが存在した場合(92%)と比較して有意に低かったが、全培養期間無添加の場合(28%)と比較して高かった。また、卵子のGSH濃度は、培養開始後36、39および42時間から培養終了までシステインを添加することによって(8.9-11.4mM)、42および45時間から3時間のみシステインを添加ルた域合(3.4-3.8mM)と比較して高くなった。III. システインあるいはシスチンの存在下で成熟したブタ卵子のGSH合成およびMPN形成におよぽす卵丘細胞の影響 本文験では、システインおよびシスチン(酸化型システイン)のブタ卵子による利用性と卵丘細胞との関連性について検討した。システイン(0.57 mM)もしくはシスチン(0.57mM)を添加または無添加のmTCM-199Bで卵丘細胞付着卵子を48間培養した結果、IVF後のMPN形成率および卵子内のGSH濃度は、システイン(それぞれ、86%および7.6 mM)もしくはシスチン(それぞれ、81%および8.2mM)を添加した場合、無添加(それぞれ、38%および3.0mM)と比較して有意に高かった。卵丘細胞付着卵子をシステインおよびシスチン無添加の培地で24時間培養後、一部の卵子から卵丘細胞を除去し、それらをシステインもしくはシスチン添加または無添加の培地に移し48時間まで培養した結果、システイン添加培地においては卵丘細胞の付着の有無にかかわらずMPN形成率(79-90%)は高かった。シスチン添加培地では卵丘細胞付着卵子のMPN形成のみ促進され(90%)、卵丘細胞除去卵子のMPN形成率(16%)は全培養期間システインおよびシスチン無添加の卵子におけるそれ(22%)と差がなかった。これらの卵子のGSH濃度はMPN成率に比例した。システインもしくはシスチンの添加および卵丘細胞の除去を培養開始36時間に行なった結果、MPN形成率は、システインを添加した場合においては卵丘細胞付着の有無にかかわらず高かったが(79-92%)、シスチン添加では卵丘細胞付着および除去卵子のいずれにおいても低かった(14-29%)。これらの結果から、1)ブタ卵子内のGSH濃度が高くなることによって、侵入した精子核の十分な脱濃縮が誘起され、それによってMPN形成が促進されるが、これらの課程は卵子の活性化と密接に関連していること、2)卵子核成熟が第一成熟分裂中期から第二成熟分裂中期に至る成熟過程の後半時期(培養開始後42-48時間)にのみシステインが存在することによって、MPN形成に十分なGSHが合成されること、3)卵丘細胞除去卵においてもシステインによるGSH合成は可能であるが、シスチンによるGSH合成には卵丘細胞の存在が必要である、ことが示唆された。
発行日
1997-03-25
出版物タイトル
資料タイプ
学位論文
学位授与番号
甲第1624号
学位授与年月日
1997-03-25
学位・専攻分野
博士(農学)
授与大学
岡山大学
学位論文本文
学位論文(フルテキストURL参照)
言語
English
OAI-PMH Set
岡山大学
論文のバージョン
publisher
査読
不明