岡山大学農学部 Acta Medica Okayama 0474-0254 38 1 1971 醗酵乳用原料乳から分離した耐熱性細菌の性状について 59 64 EN Toshitaka Nakae Kei Kataoka Hideo Hanada 醗酵乳用原料生乳および一部の市販牛乳,計50点から63℃,30分加熱で生存する菌株74株を分離し,その一般性状とタンパク質および脂肪分解性を検索した. その結果から同定した菌群はすべてBacillus属であり,B.cereus,B.subtilis,B.pumilusの順に多く検出された. これらの菌株は,タンパク分解力が大であったが,脂肪分解力は全般的に低かった. 代表的分離菌株のうち,63℃,30分または85℃,20分加熱処理における耐熱性のとくに高い菌株はB.megaterium,B.subtilis,B.cereus等に属する数株であったが,100℃,10分加熱ではその発育細胞の耐熱性は認められなかった. 加糖酸乳飲料に実際に接種して38℃,6日間培養した結果では,38℃,24時間培養菌液の接種において,一部の例にわずかな異常が認められたが,市販条件の同種の製品では異常が起らないものと結論された。 No potential conflict of interest relevant to this article was reported.