Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

食肉の色調現象の化学的要因と特性化に関する研究

泉本 勝利 岡山大学
抄録
食肉の色調はその品質を決定する重要な項目である.食肉の多様な色調現象は反射率スペクトルのパターン変化の反映である.この現象は主としてミオグロビン(Mb)の含量とその誘導形態である鮮紅色の酸素型(O2Mb),紫赤色の還元型(RMb)および褐色のメト型(MMb)の混在割合による.加工肉は生肉と異なる反射率スペタトルを示す.O2MbからMMbへの自動酸化による劣化は鮮度がよくない腐敗した食肉と感じられる.そこで,食肉の色調現象をMbの分析化学的測定によって間接的に解釈しようとされてきた,しかし,色調との対応関係が明らかでなければ,感覚量としての色調を説明するには不十分であった.反射率スペタトルはMbに関する化学的要因と色調現象の情報を合わせもっている.これらの分光学的測定における相互関係について論述した. KubelkaとMunkの理論によるK/S(光吸収係数/光散乱係数)から導かれた反射率の逆数とMb含量は直線関係になる基本的性質が認められた.これらの解析法とその展開について論議した.CIEXYZ(三刺激値)とCIELAB(L*,a*,b*色調値)の特性が解析され,食肉の色調特性はMb誘導形態,熱処理による白濁化,光源の種類によって異なる係数である共通の関数に従った.色度特性は誘導形態特有の放物線の軌跡を示した.反射率スペクトルには色素を除外した食肉とみなせる素地の不透明性が反映する.このスペクトルは反射分光法の基線となるが未知であった.シミュレーションで明らかにされた素地のスペクトは、さらに詳細な食肉の反射分光法による特性と品質管理の情報を得るために有用になるであろう。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029