Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

モモ‘白桃’果実における渋味発生と主枝の生育異常との関係

久保田 尚浩 岡山大学 Kaken ID publons researchmap
岩瀬 広繁 岡山大学
発行日
1993
抄録
モモ果実における渋味の発生要因の解明ならびにその防止策を確立するための基礎資料を得るために,1樹内で環状はく皮状になった主枝と健全な主枝を有す3本主枝の`白桃'成木について,果実発育に伴うポリフェノール含量,PAL活性およびフェニルアラニン含量などの変化を調査した.健全主枝に比べて環状はく皮状主枝の果実は肥大が優れ,また収穫時の糖含量が多かった.全フェノール,高分子フェノール含量ともに果実発育期間を通して健全主枝よりも環状はく皮状主枝で多く,特に果実発育第2期すなわち硬核期に両者の差が顕著に現れた.環状はく皮状主枝では果実発育第1期の末期から第2期の初期にかけて,果実のPAL活性が高く,一方フェニルアラニン含量が少なかった.比較のために用いた健全樹の果実におけるこれらの変化は健全主枝の果実の変化に酷似した.以上のように,環状はく皮状主枝の果実は,果実発育の第2期にポリフェノール含量が急増するが,その増加にはPAL活性が関係していることが明らかとなった。
キーワード
白桃
生育異常
ポリフェノール含量
環状はく皮状主枝
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029