Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

根域制限によるブドウ‘ピオーネ’の有核果の着粒増加

岡本 五郎 岡山大学
今井 俊治 広島県果樹試験場
発行日
1989
抄録
1.4倍体ブドウ‘ピオーネ’の果房には多くの無核小粒が着生し,正常な有核果の結実が少ない.本実験では,‘ピオーネ’の幼木をボックスや底部を遮断したベッドに植えて根城を制限し,結実への影響を調査した.根域を制限しない盛土に地植えしたものを対照区とした. 2.根域制限した樹では地植えの樹に比べて有核果の着粒が多く,無核果は少なかった.ボックス栽培から地植えに移した当年は有核果が多く着粒したが,2年目以降は無核果が増加した. 3.根域制限樹では開花期前の胚のうの発達が促進されたが,開花当日の胚のうの完成率は年次によって変動した. 4.地植え樹の雌ずいでは,花粉管のほとんどが途中で伸長を停止したが,根域制限樹では子房の下部へ伸長するものが比較的多く,約半数の雌ずいで花粉管が珠孔内へ到達するのが観察された.ボックスから地植えに移植した場合,当年は花粉管伸長が良好であったが,翌年はその効果がみられなかった。
キーワード
根域制限
ピオーネ
有核果
4倍体
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029