Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

干陸後の乾燥に伴う試験圃場の土層変化 笠岡湾干拓地の土層改善と適正除塩用水量の決定(1) 

天谷 孝夫 岡山大学
長堀 金造 岡山大学
抄録
笠岡湾干拓地において,塩に弱い畑作物の正常生育を保証し得る土層へと改善するための指針の策定に当たり,先ず1977年夏の干陸後からの土層変化の実態を,試験圃場のNo.10区における調査結果より検証した.その結果を要約すると,以下の通りである. 1,土壌の物理的熟成化に関する調査の結果,含水比と乾燥密度からみた干陸後の乾土化及び除塩は,初期の急速な進行と1982年頃からの停滞とに特徴付けられた. 2.この停滞を打破するには土壌物理性の改良が必須の条件であり,それを目的として混入された石膏の効果は,保水性の測定結果から実証されたように,混入土層において大きく発揮される傾向にあることが明らかとなった. 3.化学的熟成化に関する調査の結果,石膏の混入により表層部の交換性Na百分率が大きく低下し,土壌の物理性の改善へと連動する状況が明瞭に読み取れた.しかし,深層部の改良が非常に困難である様相もまた顕著に示された. 4.暗渠の排水機能は,土壌の物理的性質に支配され変動するが,適切な土層改良への対応により健全に維持されることが分かった. 5.1985年当初の時点では,石膏の混入により劣化した土壌の物理性を改善し,停滞した除塩を進展させる対応は極めて有力である事が明らかにされた.今後は,量と深さに関する合理的な決定法に基づき混入された石膏の効果についての追跡調査と解析へと進む予定である。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029