Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

多変量解析による森林植生の区分に関する研究 I.植生モデルによる検討

千葉 喬三 岡山大学
抄録
森林植生の合理的な区分方法をえるために,数種の多変量解析法をこれに適用することを考えその有用性を検討した. その第一段階として,まず人工的に作成した植生調査のモデルを対象にして検討した. このモデルは,優占度の異なる種がランダムに分布する地域にこれもランダムにコドラートを設置した場合を想定した. 従って,それぞれのコドラートには出現する種構成とその分布量(優占度)が与えられ,人工ではあるが内容はかなり複雑で現実の植生との近似性も高いモデルである. 得られた結果をZurich-Montpellier方式によって区分しその種組成表を基準にして検討を進めた. 検討の結果,8種の階層的凝縮型クラスター分析は,いずれも分離性が悪いことや区分の基準が得られないことから実用には向かないことが判かった. 主成分分析と因子分析は共に区分の基準も同時に得ることができ,スタンド群間の分離もまずまずであり,ここに用いた程度の複雑さの植生なら適用が可能と考えられた. なかでも,因子分析法は有効性が高いと思われる. 数量化III類は,ここで検討した方法の中では最も有用性があると考えられた. それは,入力データが単なる種の在・不在でよいこと,またスタンド群分離区分とその基準になる種群の分類を共に与える点,ならびに区分の結果が明確なことによる. 従って,その結果から分析の撹乱要因の摘出ができ,そのことによって区分の効果を上げうる場合があることも有利な特性といえる. 数量化III類以外の方法では,構成種群をバイナリー変量に変換しても,また攪乱要因を除去しても顕著な結果の向上は認められなかった。
キーワード
森林植生
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029