Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

ブドウ、巨峰の強勢な新梢に対する開花前の摘心及びB-9散布が花穂の栄養と結実に及ぼす影響

岡本 五郎 岡山大学
渡辺 好昭 北陸農業試験場
島村 和夫 岡山大学
抄録
ブドウ,巨峰の強勢な新梢でははげしい花振い(開花期後の落果過多)が起きやすい. その結実を向上させるために,新梢の強い摘心(満開8日前)及びB-9散布(同14日前,2500ppm)を行い,小花の発育,花穂の栄養を調査した. 1)花らいの発育(乾物重増加)は強摘心によって著しく促進され,逆にB-9散布をするとやや抑制された. しかし,満開日における子房重はいずれも放任(無処理)区と差がなかった. 各区とも満開2または4日後から子房の発育が急速になったが,B-9散布区ではとくに著しかった. 2)放任区では小花の12.4%しか結実せず,果房は著しい「バラ房」になった. 強摘心区では44.1%が結実したが,果粒の約80%が無種子果で小粒になった. B-9散布区では26.7%が結実し,無種子果も少なく,商品性の高い果房が得られた. 3)B-9散布区では小花中の糖含量が満開日まで増加し,その後急激に減少した. 強摘心区ではその増加がわずかで,満開後は著しく減少した. 放任区では対照的に満開日以後の減少がごくわずかであった. 4)強摘心区では満開3日前に穂軸中の水溶性Nが急増し,小花でも満開2,4日後に水溶性及び不溶性Nが増加した. これらの急激に増加した水溶性Nはアミノ酸以外のものであった. B-9散布区では満開日に穂軸及び小花の水溶性N及びアミノ酸はピークに達した. 放任区では小花中の水溶性Nの増加はなく,満開日のアミノ酸も他の2区より少なく,とくにGlycine,Leucine,Isoleucine,Phenylalanineが少なかった. 穂軸中のアミノ酸も放任区では満開日に急減し,とくに主成分であるGlutamineは強摘心区の1/3,B-9散布区の1/5しかなかった. 5)P,K,Ca,Mg,B含量は小花,穂軸とも区による明らかな差がなかった。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029