Scientific Reports of the Faculty of Agriculture, Okayama University
Published by the Faculty of Agriculture, Okayama University
ONLINE ISSN : 2186-7755

サイレージ調製に関する研究(第8報) イタリアンライグラスの生育時期別飼料価値とサイレージ調製ならびに乾草調製のための生育適期

須藤 浩 岡山大学
内田 仙二 岡山大学
駒口 貞夫 岡山大学
抄録
畑地栽培のイタリアンライグラスについて,生草・サイレージ・乾草として利用する場合,これらの飼料価値・刈取適期などを知るため,4月13日より6月15日に至る期間に,10回刈りとり,収量を調査するとともに,成分を分析して,その養分収量を調査し,また4期にはヤギで消化試験を行なった.いっぽう乾草(1時期のみ),サイレージ(3時期)を調製して,それらの品質および栄養価値を検討した.その結果を要約するとつぎのようである.1)粗タンパク質含量は,若葉伸長期(4月13日)の23%から,植物の生育段階がすすむにつれて,次第に低下し,成熟期(6月15日)には5.2%になった.粗繊維含量はこれと反対に,次第に増加した.10aあたり粗タンパク質の収量の最高になったのは,出穂80%期であったが,乾物の収量は成熟期まで増加し続けた.プロビタミンAの収量は,出穂30%期が最高になった.2)若葉伸長期,穂孕期~出穂30%期,出穂80%~開花期,乳熟~糊熟期の4期について,ヤギによる消化率を査定した結果は,生育期のすすむにつれて,消化率は低下した.生草の乾物含量(x)と粗タンパク質の消化率(y)間には,有意な負の相関関係(r=-0.922;p<0.05)が認められ,回帰直線y=-1.42x+96.62が得られた.乾草調製の刈取適期は,出穂80%~開花期であることが推定された.3)イタリアンライグラス乾草に,1/9量のMoreaを添加してヤギに給与した結果,総合的には消化率の向上が観察されたが,粗繊維の消化率は向上をみなかった.4)穂孕期(出穂前),出穂開花初期,糊熟初期の3期に調製したサイレージの品質は,糊熟期のものが70点で,他の2期のものはいずれも品質はよくなかった.日乾・添加物の利用による調製の工夫が望ましい.プロビタミンAは埋蔵間,埋蔵量の70~80%が保存された.サイレージの消化率の査定の結果,生草の場合と同様,材料の生育期がすすむにつれて,消化率は低下するが,サイレージの品質も消化率に影響するように推察された.サイレージの品質・養分収量から考える場合,サイレージ調製のための刈取適期は糊熟期であるが,土地の経済面からは,穂孕期(出穂直前)がよいと推定された.5)生草とサイレージの有機物の消化率を比較した場合,わずかにサイレージのほうが劣り,粗脂肪・粗繊維ではサイレージのほうがまさるように推察された.粗タンパク質・純タンパク質では,サイレージの消化率が劣る.イタリアンライグラスにおいては,サイレージも乾草も,かなりな品質にでき上った場合は,有機物の消化率は,生草に近いものが得られるものと推定された。
ISSN
0474-0254
NCID
AN00033029